第4話仲間が増えたけど大丈夫だよね?
道中再度ステータスプレートを見てみる。兄のレベルが2上がっているが私はかわらない。
トドメをさした人に経験値が入るみたいだ。
そして街に着く。
「やっと帰ってこれたな。てゆうか、森を歩いたから制服がかなり汚れちゃったな。まずは服を買いに行こう。」
「そうですね、ずっと制服っていうのも変ですよね。」
そう言って洋服屋へ向かう。
この世界のファッションセンスはよくわからないのでとりあえず2人とも2着ずつ店員に見繕ってもらう。
「わー、お兄ちゃんかっこいいです!よく似合ってますよ。」
「ほのかもそのスカートは中々可愛いよ。」
そんな話で盛り上がり買い物を終える。
「さぁ、宿屋に戻ろう。」
2人は宿屋に帰ってきた。
そして食事を済ませ、布団に入る。
「おやすみなさい、お兄ちゃん。」
「おやすみ、ほのか。」
2人が寝静まる。
しかしユウタはこっそりと布団を抜け出した。
そして外に出る。
(俺はまだまだ弱いな。このままじゃほのかを危険に晒すかもしれない。いや、ヘタしたらほのかの足手まといになる可能性だってある。強くならなければ…。)
刀を構え、素振りを始める。
(やっぱり、木刀とは、使い勝手が違うな。よし、せっかく真剣なんだ。あれを試してみるか。)
そして刀を鞘に収めると身体を低く構え、素早く刀を抜き、その勢いで前に切り出す。
(よし、うまくいったぞ!)
いわゆる抜刀術だ。日本刀だからこそできる神速の技だ。
そして身体強化と同時に発動してみる。すると肉眼では確認できないほどの速さで斬ることができるようになった。
(次は、アレを試してみよう。よし、刀から火が出るイメージを…)
そしてユウタはしばらく1人で特訓し、部屋に戻るのだった。
「おはようございますっ、お兄ちゃん!」
私はいつものように兄に抱きつく。
「あぁ、おはよう。ふぁぁ…」
大きなあくびをする。
「お兄ちゃん眠たそうですね?あんまり眠れませんでしたか?」
「いや、昨日の戦いで疲れてただけだよ。大丈夫。さぁ、今日も頑張ってレベルをあげよう。」
そして再び2人で森に向かう。
森に入るとすぐに魔物が現れた。昨日と同じヘビの魔物だ。
「よし、俺にまかせろ!」
兄がそう言って膝をまげ、低い姿勢になり鞘を持ち、構える。
「お兄ちゃん…、まさかその構えは…。」
私は兄の姿を見つめる。
「炎よ、刀にまといて敵を打ち砕け!」
兄がそう言って刀を抜いた瞬間、刀を一瞬炎が包み、ヘビが真っ二つになると同時に炎上した。
「お兄ちゃん、いったい何が…?今のは居合ですよね?しかも火がでてました!」
私は驚いて兄に駆け寄る。
「あぁ、俺は魔法の才能はないって言われたからな。でも一瞬なら出せるんじゃないかと思って。いわゆる魔法剣ってやつだ。」
兄が少し照れながら説明する。
「すごいです!さすが私のお兄ちゃんですっ。斬るのも速すぎて全然見えませんでした!」
そして森の奥へと進む。
すると、遠くから人の声が聞こえた。
「キャーーッ」
若い女の子の声だ。
「今の悲鳴は…!?ほのか、急ごう!」
兄が私の手をひき走り出す。
「はい、お兄ちゃん!」
しばらく走り、ようやく声がしたあたりにたどり着いた。
すると、私と同い年くらいの女の子が熊のような魔物にまさに今襲われる寸前だった。
私が杖を構えるより先に兄が熊の首を切り落とした。
「さすがお兄ちゃんです!」
私は兄を見つめる。
「君、大丈夫か?ケガはないか?」
兄はそういって腰をぬかして座り込んでいた少女に手をさしだす。
少女は起き上がりながら礼を言う。
「えぇ、助かったわ。ありがとう。それにしてもあなた、強いのね。あのテリーベアを瞬殺なんて。」
「はい、お兄ちゃんは世界最強なんです!」
私はドヤ顔をする。
「お兄ちゃん?あぁ、あなたたち兄妹なのね。私はミンティア。薬師をしてるの。薬草を探してたら魔物に遭遇しちゃって。」
「そうか、それなら俺達が送っていこう。また魔物が出るかもしれないからな。」
まぁ1人じゃ危険だししかたないわね。
するとミンティアが答える。
「ありがとう。助かるわ。でも私、決まった家はないの。各地を巡りながら薬の研究をしているの。いつもならあれくらいの魔物は消滅させられる薬品を持ち歩いているんだけど、うっかりなくしちゃって…」
消滅させれる薬品って、すごいわね…。
「そうなんだ。なんか薬師ってすごいんだな。」
兄が感心している。
「良かったらあなたたちに同行させてくれないかしら?さっきの強さを見たら一緒にいたくなったわ。」
ミンティアが兄の手を取りながらお願いする。
(ちょっ!?何お兄ちゃんの手に触ってるのよ!)
「あぁ、別に構わないさ。そのかわり色々この世界のことを教えてくれ。実は俺達異世界から来たんだ。俺はユウタ、そっちにいるのが妹のほのかだ。」
「ほのかです…。よろしくお願いします。…ところで、早くお兄ちゃんから手を離してくださいっ!」
私はそう言うと、2人を引き離す。
「あら、ごめんなさい。でもいいじゃない?手をにぎるくらい。」
ミンティアが少し笑いながら言う。
「よくありません!お兄ちゃんは私だけのものですっ!」
ポカンっ
兄が頭をたたく。
「俺は誰のものでもないよ。まったく。まぁ見たとおり妹は少し変わったやつだけどよろしくな。」
そして私たち2人だけの旅にもう一人仲間が加わった。
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