第3話初バトルだけど大丈夫だよね?

朝になり私は目が覚めた。となりには兄がまだ熟睡している。今のうちに兄に抱きつく。

「お兄ちゃ〜ん♡すりすり…。よく寝てるわ。今のうちにおはようのキスを…。」

兄の唇めがけて顔を近づけると、

「ん、もう朝か…。って何しようとしてるんだよっ!」

そう言って私を押しのける。

「何っておはようのキスに決まってるじゃないですかぁ。」

「決まってないよっ!全く油断もスキもないな。」

兄が布団から起き上がる。

コンコン。ノックが聞こえた。

「おはようございます。朝食の支度ができましたのでお願いします。」

宿屋の人が呼びに来た。

とりあえず2人とも顔を洗い、食堂に降りる。


テーブルの上には簡単な朝食が用意されていた。見た目はパンとサラダとベーコンエッグだ。

「お、以外と朝食は日本とあまり変わらないんだな。さぁ食べよう。」

そう言って2人で手を合わせる。

「いただきます!」

すると、他の宿泊客だろうか。兄より少し年上の男性が話しかけてきた。

「おはよう、昨夜も思ったが変わった作法だな。お二人さんどこから来たんだ?あ、俺はカイル。冒険者をやってる。 」

兄が答える。

「おはようございます。俺達は、異世界からやってきました。日本という国です。俺はユウタ、こっちが妹のほのかです。 」

「ニホン?初めて聞いたな。あんたら兄妹だったんか。てっきり恋人かと思ったよ。」

(わ、恋人!?うれしい!)

私は内心で喜びまくる。

「昨日この街に来たばかりで色々わからないことだらけです。」

兄が困りながら話す。

「そうか。まだ初心者ってことだな。ならまずはレベル上げだな。この街を出て北に行った森で魔物を倒すのがいいだろう。」

カイルが教えてくれる。

「なるほど、ありがとうございます!頑張ってみます。」

「あぁ、またわからないことがあれば声をかけてくれ。妹さんをしっかり守ってあげなよ。」

そう言ってカイルは、出て行った。

「北の森ですか。森でピクニックですねっ!さぁ行きましょうお兄ちゃん♡」

「おい、ほのかひっぱるなって!」

私も兄の手を引き宿屋を出た。


街を出てしばらくのどかな道を歩く。

「そんなずっと手を繋がなくてもいいだろ?」

兄が手を離そうとする。

「ダメです、いつはぐれるかわからないんですからっ!」

ぎゅっと兄の手をにぎる。

そして森に到着する。

「つきましたね…。」

「あぁ、この先もし何か出たら俺の後ろに隠れるんだぞ。」

とりあえず2人で進んでみる。

すると木々の間から何かがあらわれた。

「ガルルル…。」

イノシシの大きいバージョンのような魔物だ。

「おいおい、いきなり強そうな魔物だな。最初はスライムとかじゃないのかよ!」

2人でイノシシから距離をとる。

「ほのか、お前はそこの木の陰に隠れててくれ。」

「は、はい。わかりました。お兄ちゃん、気をつけてください!」

私は兄から離れて隠れる。


そして兄が刀を抜いてかまえる。

「よし、やってやる。こい!」

イノシシが兄めがけて走ってくる。

そして兄がイノシシに切りかかる。

しかし、全く切れずになんとか兄はイノシシをかわす。

「うわっ。なんて固い身体なんだ。力が足りないのか。そういえば身体強化ってスキルが書いてあったな。どうやるんだ?とりあえず創造して力を入れてみるか。」

兄が体制を立て直し、イノシシめがけて再度きりかかる。

「くらえっ!」

するとイノシシが見事に真っ二つになる。

「お兄ちゃんさすがです!見事なひと振りでした。」

私は兄のうでに抱きつく。

「あぁ、ほのかも無事で良かった。身体強化ってのをやってみたらまるでキュウリを切るみたいに簡単に切れたよ。さぁ、先に進もう。」

そして少し先に進むとまた魔物があらわれた。

「シャーーッ!」

という鳴き声とともに巨大なヘビがでてきた。

「お兄ちゃん、今度は私にもやらせてください!」

兄にお願いする。

「まぁ、魔法なら離れた場所から攻撃できるから大丈夫か。ムリはするなよ?」

「はい!頑張ります♡」

(昨日みたいな火の玉じゃ、この辺を全部焼いちゃうよね?よし、炎に風魔法を加えて、圧縮するイメージを…)

「蒼き炎よ、光となりて焼き尽くせ!ファイヤショット」

そう言って杖をかかげる。

するとガスバーナーのように細く圧縮された炎が一瞬でヘビを消滅させた。

「わー、やりましたよ、 お兄ちゃんっ。魔物を倒せました!」

すると兄が私の頭を撫でて

「すごいな、ほのかは。よくやった。」

「はいっ!ご褒美にキスをお願いします!」

ポカンっ

兄が撫でていた手をまたげんこつに変えた。

「だから調子に乗るなって。」

「ふぇぇ…。」

何はともあれ2人とも魔物との初戦はすんなり勝利でおさめた。

「あ、そうだ。ステータスプレートはどうなってるかな?」

「そうですね。レベルが上がってるでしょうか?」

プレートを見てみると2人ともレベルアップしていた。

ユウタ レベル15 攻撃力 3480 魔力 190

ホノカ レベル8 攻撃力 35 魔力 10450

「わー、一気にレベルアップしましたねっ。お兄ちゃんが倒した魔物がすごい強かったってことですね。」

「あぁ、ほのかもレベルが7も上がってるじゃないか。」

ステータスもかなり上昇した。

「今日はとりあえずここまでにして帰ろうか。」

「はい、帰りましょう。」

そして2人して森を出ようと来た道を引き返し歩き始める。

あともう少しで森を出ようかというとき、目の前にさっきはなかった大きな水たまりがあった。

「あれ、さっきはこんな水たまりなかったよな?雨も降ってないのに。」

「そうですね。何でしょうか。とりあえずあっちをまわりましょう。」

飛び越えるには大きすぎるためまわりを迂回しようとしたその時、兄が驚いて

「うわっ、なんだ!?急に水が!?」

見ると水が突然魔物の形になる。

「お兄ちゃん、気をつけてください!たぶんこれに飲まれたら出られなくなります!」

とりあえず2人でまわりから距離をおく。

兄が刀を構える。

「よし、身体強化!」

そして切りかかる。

だがしかし、切ってもすぐ元にもどる。

「く、相手が水じゃあ切れないか…。ほのか、さっきの魔法を!」

そして私も杖をかかげる。

「蒼き炎よ、光となりて焼き尽くせ!ファイヤショット!」

炎が魔物に向かう。しかし水のせいで消えてしまった。

「わ、わ、ダメです!効きません!ふぇぇ。」

とりあえず2人で魔物から逃げ回る。

「そうだ、ほのか。あいつを凍らせてくれ!お前ならできるはずだ。」

兄が走りながら私に言う。

「わかりました!やってみます。」

(冷気をイメージ…、冷凍庫の風を作る感じね。)

そして再び杖をかかげる。

「冷気の風よ、敵を凍てつかせ!フリーズボール!」

冷気の玉が命中し、その瞬間魔物が凍っていく。

「よし、今だ!」

そう言って兄が刀で魔物を粉々にする。

すると偶然にも水の魔物の核を切ることに成功した。魔物は消滅していく。

「やりましたねっ。あんなとこに核があったんですね。お兄ちゃんさすがです!」

「まぁ、たまたまだけどな。ほのかが凍らせなきゃ切れなかったしな。さぁ、帰ろうか。」

そして、ようやく森を後にする。

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