第2話魔法使っても大丈夫だよね?

「魔法なんて楽しみですね。現実に魔法が使えるなんて夢みたいです!まさか魔法少女になれるなんて♡」

「魔法少女というより魔術師だろうけどな(笑)でも魔法なんてたくさん覚えることがあるんだろうね。呪文とか?」

「ふぇぇ…。勉強は苦手ですぅ。」

そんな話をしていると魔術師の家に着いた。

さすが街外れだ。まわりには全く家が見当たらない。

コン、コン

兄がドアを叩く。

「ごめんください。」

すると、ドアがあき

「はいはい、誰だね?こんな外れの家になんの用だい?」

中からは黒いローブをまとった初老の女性が出てきた。

「まぁ、立ち話もなんじゃからとりあえず中に入りなさい。」

中に入り、イスに座る。

「あの、実は俺達異世界からきたんですけど、魔法の使い方がわからなくて教えてほしいんです。」

兄が頭を下げてお願いする。

「異世界から?」

初老の女性が驚いていた。

「俺の名前は小鳥遊悠太、こっちが妹のほのかです。」

兄が自己紹介する。

「あ、あの、ほのかです。よろしくお願いします。」

私もあいさつする。

「私はリディア、今はもう引退したが王宮で魔術師をしておった。ん、ほのかと言ったか?おぬしからはすごい魔力を感じる。」

リディアがほのかを見つめる。

「まぁ、ともかく魔法の使い方を教えよう。まずは外に出なさい。」

そして3人で外に出る。

「私は火属性じゃからそれしか教えられんがいいかの?まぁ使い方は全属性共通じゃから。まずは見本を見せよう。」

リディアがそう言うと、前に手を伸ばす。

「炎よ、いでよ。フレイムボール!」

手のひらから火の玉が飛び出し近くの木に当たると木を焼き尽くした。

「こんな感じかの。重要なのはイメージじゃな。頭の中で火の玉をイメージすると火球が、壁なら炎のカベが現れる。呪文はまぁ、追加の燃料みたいなもんじゃ。特に決まりはない。」

すると兄もリディアのように手のひらを前に出す。

「なるほど。炎よ、いでよ。フレイムボール!」

すると手のひらから激しい火の玉が!

…出ることはなくテニスボールくらいの火が一瞬出て消えた。

「ありゃ、イメージはバッチリだったのになぁ」

兄ががっかりする。

「ユウタは魔力が少ないようじゃの。魔法には向いていないようじゃ。ほのかはどうかの?やってみなさい。ほのかは魔力が強いみたいじゃから念の為あっちの山のほうに向けてな」

リディアが、遠くの山を指差す。

「は、はい。わかりました。やってみます。」

イメージ、イメージ。火の玉をイメージ。

私も同じように手のひらを前に出す。

「炎よ、いでよ!フレイムボール!!」

すると直径1mはある火の玉が超速で飛び出し、ドーーンという地響きとともに山へ放たれた。遠くの山では煙があがっている。

「わ、わ、ごめんなさい。リディアさんのマネをしただけなのに。」

私はあわててリディアに頭をさげる。

「こりゃあ、たまげた。魔力が強いとは思っていたがこれほどとは。まぁ、そんな感じじゃ。あとは自分で考えて経験を積んでいくことじゃな。杖を持つとさらに魔力は上がるからの。」

「ありがとう。あとは俺達でなんとかやってみせるよ。」

「あ、ありがとうございました!」

兄と私はリディアにそう言うと街へ向かう。


街へ着くと、もう夕方になっていた。

「もう、今日は遅いから宿屋へ行こう。」

そう言うと兄は私の手を引き宿屋へ向かう。

「いらっしゃいませ。2名様ですね。ダブルとツインどちらになさいますか?」

受付の人が尋ねると

「ツイ…」

兄が、言いかけたとこを

「ダブルでお願いします!!」

私が慌てて訂正する。

「かしこまりました。お一人様1泊2食で銀貨5枚ですので、計10枚お願いします。」

兄が銀貨を支払う。

「おい、せっかくお金があるんだからツインでいいじゃないか。ダブルじゃせまいだろう。」

「いいえ、この先何があるかわからないんですから節約するにこしたことはありません!」

(お兄ちゃんに抱きついて寝たいもの。あわよくば…フッフッフ)

私は色々と想像する。

そして部屋へと案内される。

「食事の支度が整いましたら呼びにきますので、どうぞごゆっくり。」

そういうと受付の人が出ていく。

出て行った直後私は兄に抱きつく。

「お、おいほのか。…そうか、不安だったんだな。こわかったよな。いきなりこんな世界につれて来られて。よしよし」

兄が私の頭をナデナデする。

「ふふふ、やっと二人きりになれましたね。お兄ちゃん♡さぁ、思う存分愛し合いましょう!」

ぽかん!

「おい、なんでそうなる!」

ナデナデする手がげんこつにかわる。

「いたっ。いいじゃないですかぁ。せっかく二人きりなんですから。」

「よくないだろ、お前は俺の妹だろ。」

兄がしがみつく私を引き離そうとする。

「もう異世界なんですから日本の法律は関係ないです!さぁ、結婚しましょう!」

「しねーよ!?」

いつも家では私はこんな感じで求愛している。

コンコン、

「お食事の準備が整いました。下の食堂におこしください。」

宿屋の人が呼びに来た。

「うぅ、いいところだったのにぃ」

私は悔しがる。

「さぁ、食べに行こう。腹減ったなぁ。」

2人で食堂に降りる。


食堂に降りて2人で席に着く。

「わぁ、見たことない料理ばっかりですけど美味しそうです。」

「あぁ、うまそうだ。さぁ、食べよう。」

「いただきます!」2人で揃って手を合わせて言うとまわりの人が不思議そうに見てくる。

日本式の食事前の作法は珍しいみたいだ。

そして2人で食事を楽しむ。

「ごちそうさまでした!」

2人でまた手を合わせる。


「美味かったな。特にあのオルタのステーキは最高だった。まるで牛肉みたいだった。」

「そうですね、私はデザートに出たポタラの実を使ったゼリーっていうのが気に入りました!」

部屋に戻りそんな話をする。

そして私はタオルを水で濡らし

「お兄ちゃん、すみませんが、身体を拭いてくれませんか?」

風呂という文化は貴族にしかないようで、当然宿屋にはない。

「べ、別にいいけど、背中だけだぞ。」

兄が顔を赤くしながら答える。

「えぇ〜、お兄ちゃんに隅々まで拭いてほしいのに〜。」

ポカン

兄が頭を軽くたたく。

「調子に乗るんじゃない。」

「はーい…。」

そして私は後ろを向いて服を脱ぎ、背中を拭いてもらう。

「はい、拭けたよ。後は自分でな。」

「うぅ。」

しかたなく私は自分で身体を拭く。

「さぁ、次はお兄ちゃんの番です。さぁ脱いでください!」

私はタオルを手に構える。

「わかった。じゃあ背中だけ。」

「まかせてください!」

そう言って私は兄の前に立ちいざ拭こうとしたら

「いやいや、何で前からなんだよ!普通後ろからだろ。」

そう言って離れる。

「わかりましたよぅ。」

しかたなく後ろから背中を拭く。


「よし、今日はもう寝るとしよう。」

兄が布団に入る。

「はい!お兄ちゃんと一緒に寝るなんて何年ぶりでしょうか。」

「いや、ほのかはしょっちゅう俺の布団に忍び込んできてるじゃないか。」

「そうでしたっけ?記憶にありませ〜ん(笑)」

私はそう言って腕にくっつきつつはぐらかす。

「まったく、ほのかは甘えん坊だな。おやすみ、ほのか。」

「はい、おやすみなさいお兄ちゃん♡」

そして2人とも眠りにつく。


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