異世界に飛ばされたけどお兄ちゃんがいれば大丈夫だよね?

いもサラダ

第1話お兄ちゃんと異世界に飛ばされたけど大丈夫だよね?

私の名前は小鳥遊(たかなし)ほのか、15歳の高校1年です。突然ですが、私は兄を愛しています。LIKEではなく、LOVEの意味です。一人の男性として・・・

兄の名前は小鳥遊悠太といいます。17歳の高校3年生です。顔も学力も平均的くらいでしょうか。でもいざというときには私を守ってくれる頼もしいお兄ちゃんです。


「お兄ちゃん、早く学校行かなきゃ遅刻しちゃいますよ?」

「わかってるよ。でも俺を待たなくてもほのかは先に行ってていいんだぞ?」

兄は起きるのが遅く、まだ朝ご飯を食べていた。

「先になんて行くはずないですっ。毎日お兄ちゃんと一緒じゃなきゃイヤですよ!」

私がそう言うと兄は急いで食べ終えた。

「戸締りよし、行くか。」

2人で家を出る。

「おい、ほのか、くっつくなよ。歩きにくいだろ。」

私は兄の腕にくっつきながら歩く。わりといつものことです。

「いやです、お兄ちゃんから離れたくありませんっ!」

そしてさらにくっつく。

「お兄ちゃん、もうすぐ高校最後の試合ですよね。」

「あぁ、そうだな。絶対勝って有終の美を飾らないとな。それが終わったら受験が待ってるが。はぁ、、」

兄は剣道部に入っている。もうすぐ県大会だ。

「私、絶対応援行きますからね。頑張ってくださいっ!」

そんなやり取りをしながら通学路を歩いていると突然地面が光りだした。まるで魔法陣のような円を描いている。

「ちょ、何!?地面が光ってますよ!?」

兄に必死にしがみつくと

「ほのか、危ない、離れるんだ!」

そう言って私を魔法陣の外に突き飛ばした。

すると兄が光とともに消えようとする。

「イヤ、お兄ちゃん!!」

私は慌てて兄の袖口をなんとか指先でつまむことができた。すると私の体も兄と一緒に光の中に消えていった。


「ん、ここは?…お兄ちゃん!?」

目が覚めると私と兄は見知らぬ部屋の中に倒れていた。

「ほのか、無事だったか。たく、何が起こるかわからないからせっかく俺から引き離したのに危ないことして。」

「ごめんなさい、でもああしないともうお兄ちゃんに会えない気がして。」

そんなことを話していると、誰かの声が聞こえた。

「よくぞまいった。異世界の勇者よ。呼んでもいない小娘がついてきたがまぁよい。」

王様のコスプレをしたような老人が目の前のに立っていた。

「ここはハイデンベルク国。わしはその王、ハイデンベルク四世じゃ。そなたにはこれから魔王を討伐してもらいたい。」

王様が事情を話す。

「魔王?勇者?ふざけるな。ゲームじゃあるまいし、早く元の世界に返すんだ!」

兄が王様に物申す。

「それはできぬ。異世界召喚の魔術は10年に一度にしか行えぬ。頼む、もうそなたにしか魔王を倒す希望がないのじゃ。」

王様の話によると、15年前この世界に突如魔王が復活し、そこら中に魔物を放ち、人間を襲い勢力を広げているのだそうだ。この国に伝わる勇者召喚の魔術を10年待ってようやく今日行うことができたらしい。

「なるほど。話はわかった。できるか分からないがやるだけやろう。しかし」

兄はそう言って私を見る。

「妹のほのかは関係ない。ただ俺に巻き込まれただけなんだ。妹を安全な場所で暮らさせてくれ。それが条件だ。」

すると王様は

「よいだろう。我が国のこの城の中ならば敵がくることもない。ほのかどのと言ったか?勇者どのが魔王を倒し帰って来る日までそなたの安全は保証しよう。」

と言ってきた。

「イヤです!私はお兄ちゃんと一緒に行きます!離れるなんてぜーったいイヤです!」

私は兄にしがみつく。

「ほのか、これは危険な旅になるんだ。大人しく待ってるんだ。」

「ムリです!私はお兄ちゃんがいないと生きていけません。そばにいさせてくだ、さい…。」

私の瞳から涙が溢れでてきた。

「しかたないな。わかったよ。そのかわりほのかが危なくなったらすぐに安全なとこに送り届けるからな。」

と兄が私を抱きしめてくれた。

「話は済んだようじゃな。まずは旅支度として少ないがこの金貨を持っていくがよい。そしてこの街のギルドへ行き、冒険者登録をするのじゃ。」

王様はそう言って金貨の入った袋を渡してくれた。

そして私と兄は魔王を倒す冒険に足を踏み入れるのだった。


2人で街を歩いていると、すぐにギルドは見つかった。

中に入ると、みんなが不思議そうに私達を見てくる。それもそうだ。2人とも高校の制服のままなのだから。

「あの、冒険者登録ってのをしたいんですが。」

兄がギルドの人に話しかける。

「冒険者登録はこちらです。まずはステータスプレートを作ります。この水晶に手を当ててください。」

ギルドの受付の女の人が水晶を出してきた。

「わかりました。こうかな?」

兄が水晶に手を置くと淡く光り、ステータスプレートに書き込まれる。

名前 ユウタ 職業 勇者

レベル1 攻撃力 450 魔力 35 スキル 身体強化

 魔法属性 火 とプレートに、書いてある。

「わぁ、まさか勇者だったんですね。レベル1でこの攻撃力はすごいです!レベルをあげればスキルの効果をあげることができますから頑張ってくださいね。」

受付のお姉さんは驚いていた。

「さすがお兄ちゃんです!一応私もやっときますね。」

私も水晶玉に手を置く。すると、とてつもなくまばゆい光を放ちだした。

「え、、まさかこんなことが!?ほのかさん、あなたいったい、、」

お姉さんはさっきよりさらに驚いていた。

プレートには

名前 ホノカ 職業 魔術師 

レベル1 攻撃力10 魔力 8935 スキル 全属性魔法使用可

と書いてある。

「あの、何か?職業が魔術師で魔力が高いだけですよね?」

私はギルドのお姉さんに尋ねる。

「たしかに魔術師はほかの職業より魔力が高いですが、超一流の魔術師でようやく魔力は1000を超えるのがやっとなんです。そして人間が扱うことができる魔法の属性は、火・水・風・土・光・闇の6属性あるんですが、普通は1人につき1属性しか使えないんです。魔族や魔物などは別なのですが。」

お姉さんが説明してくれる。

「なるほど、ほのかは普通の人の何倍も強いってことか。こりゃ、俺よりほのかのが活躍しそうだ。はは、」

兄が肩を落とし笑っている。

「いいえ、私の力は全部お兄ちゃんのためにあるんです。私をお兄ちゃんの体の一部だと思って使ってください!」

私が兄の腕にしがみつく。

「とにかくこれで冒険者登録は終わりました。まずは武器屋に行かれてみるのがいいでしょう。」

お姉さんが説明する。

「よし、ほのか、とりあえず武器を買うぞ!」

「はい、お兄ちゃん!」

そして二人は武器屋に向かう。


武器屋に入ると色々な武器が取り揃えてある。剣、大剣、弓矢、槍、杖など、

「ん、あれは!」

兄が一番に目が行ったのは日本刀だった。

「お兄ちゃん、それがいいんじゃないですか?剣道部なんですからうまく使えるかもですね。」

「そうだな、まぁ真剣は使ったことがないけど木刀と同じようなもんだろう。これをください。」

兄が店主に日本刀を持っていく。

「お兄さん、それでいいのかい?売れ残りだが。大昔異世界から来たってやつが作った剣のレプリカらしい。」

店主が説明する。

「異世界?まさか俺達と同じ日本から召喚された人が他にもいたのか。」

「そのようですね。こんな刀は日本しかありませんよね。」

「とにかくこれをくれ。いくらだ?」

兄が金貨の袋に手を入れる。

「売れ残りだから銀貨1枚でいいよ。」

そして店主に金貨1枚を手渡す。

「おい、金貨かよ。若いのに金持ちだな。銀貨99枚の釣りだ。なるべく細かいお金を使ってくれよな。」

金貨の袋と同じくらいのお釣りをもらう。金貨1枚は約10万円くらいの価値らしい。それを王様に100枚もらった。実は私達すごいお金持ちだったんですね(笑)

「あ、私はこれがいいです!」

私が手に取ったのは先に水晶が付いた木製の杖だ。

「どうですか?お兄ちゃん、魔法使いって感じがしますか?」

「そうだな。よく似合うよ。この杖もくれ。」

兄が店主に言う。

「その杖なら銀貨20枚だ。」

以外と高かった。

兄が払いを終えると、

「ちなみに魔法ってのはどうやって使うかわかるか?」

店主に尋ねる。

「俺は魔法が使えないからわからないな。街外れに住んでる元王宮魔術師のばあさんなら教えてくれるだろう。待ってな、今地図を描いてやるから。」

そう言って店主は地図を書いてくれた。

「ありがとう。世話になったな。よし、ほのか行こう。」

「はい、お兄ちゃん♡」

二人は店を出て歩き始めた。

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