第5話光と闇が使えても大丈夫だよね?
街に帰り、宿屋に戻る。
「今日は私もこの宿に泊まるわね。ユウタたちは明日も森に行くんでしょ?」
ミンティアが宿の受付を済ませ尋ねる。
「あぁ、もう少しあの森でレベルをあげないとな。」
「そうですね、私も戦い方を色々覚えなきゃですし。ミンティアはどうするんですか?」
私がミンティアに尋ねる。
「私もあなたたちについていくわ。薬の原料を色々集めないと。」
「そうか、じゃあまた明日な。」
そう言ってミンティアとわかれる。
部屋に戻り2人でくつろぐ。
「薬師なんて職業があるんですね。まぁ病気とかになったら大変ですもんね。」
兄に話かける。
「そうだなぁ。そういえば治癒魔法とかってあるのかな?」
「治癒魔法ですか、ちょっと試してみましょうか。お兄ちゃん今日草で切った傷がありましたよね。見してくださいっ。」
兄が腕を出す。小さな切り傷があった。
(傷が治るイメージを思い浮かべて…)
「聖なる力よ、傷を癒やしたまえ。」
私が手を近づけて唱えるとみるみる傷がふさがっていく。
「わ、できたっ。できたよお兄ちゃんっ!」
「あぁ、もう全く痛くないよ。さすがほのかだ。」
兄が頭を撫でてくれる。
「たぶんこれが光属性の魔法なんでしょうね。 」
ほのかは光属性魔法を修得した。
朝になり、ミンティアと合流する。
「おはよう、ミンティア。」
「おはようございます。ミンティア。」
私たちはミンティアにあいさつする。
「おはよう?あなたたちの世界のあいさつね。おはよう、ユウタ、ほのか。」
ミンティアが答える。
「今日は、昨夜調合した薬品があるから強い魔物が出ても安心して。さぁ、行きましょう。」
そして3人で森に向かう。
森に入り、歩きながら私が話しかける。
「あの、魔物が出たらまず私にやらせてもらえませんか?ちょっと試してみたいことがあるんです。」
兄が答える。
「わかった。でも無理はするなよ。危なくなったらすぐ俺に代わるんだ。」
「はい、わかりましたっ!」
するとすぐに魔物がでてきた。
角の生えたウサギの魔物だった。
私は杖を構える。
(えっと、まずは水魔法で大気中の水分を冷やして…)
するとウサギの少し上空に小さな雲ができる。
(そして、風魔法で雲の中の氷の分子を高速振動させて…)
雲が雷雲へと変わっていく。
「雷よ、邪悪なものを打ち滅ぼせ!サンダー!」
そしてウサギの角をめがけて強力なカミナリが落ちる。そこには影だけが残っていた。
「ちょっ、何!?今の魔法は!あんなの初めて見たわ…。あなた何の属性!?」
ミンティアが驚愕していた。
「あ、あの、私は全属性みたいです。今のは水魔法と風魔法の応用です。大気中の水分を凍らせて高速で振動させることで静電気が発生するんです。それを貯めると雷になるんです。」
私はミンティアに説明する。
「なんか、難しい話ね。それにしても全属性の魔法が使えるなんてすごいわ。複合魔法ってとこね。」
「ほのか、すごいな。雷の原理なんてよく勉強してたなぁ。」
兄も感心している。
「理科は得意なんですっ。数学は苦手ですけど…。」
「この魔法を強力に放てば魔物の大軍がきても大丈夫そうね。」
ミンティアが笑いながら話す。
するとすぐに次の魔物が出現した。
なんと次は狼の魔物が一度に3匹だ。
「よし、ここは俺にまかせろっ!」
兄はそう言うと刀を構える。
「身体強化っ!」
(ここはまとめて片付けたほうがいいな。よしっ。)
狼が3方向から兄に向かってくる。
「必殺、円月斬り!」
一緒で3匹とも真っ二つになる。
「お兄ちゃんさすがですっ!ひと振りで3匹まとめて斬るなんて。」
「すごいわね。あなたの剣術は。早くて全然見えなかったわ。」
ミンティアも驚いている。
すると奥からもう一匹狼が出てきてミンティアに向かう。
「しまった、もう1匹いたのかっ!」
兄が再び刀を構える。
「大丈夫よ。」
ミンティアがそう言うとカバンから小瓶を出し、狼にふりかけた。
すると狼はすぐに苦しみだし、息絶えた。
「今のは…?」
兄が尋ねる。
「毒よ。少しかけるだけで皮膚から神経毒がまわって窒息させるの。」
ミンティアが瓶をしまいながら答える。
「こわっ!でも自分にもかかる危険もありそうですけど。」
「私にはどんな毒もきかないのよ。職業薬師の特性ね。」
「なるほど、なかなか頼もしいな。ちなみに魔法は使えないのか?」
兄が尋ねる。
「使えるわよ。闇属性だけどね。」
「闇属性ってどんな魔法なんですか?」
土と闇はまだ使ったことがない。
「そうね、相手の視界を奪ったり、動きを遅くしたりかしらね。」
ミンティアが教えてくれる。
「デバフ魔法ってことですねっ。」
「デバフ?何のことかわからないけど、理解してくれたようで良かったわ。」
そしてさらに森を進む。
「あの、つぎに魔物が出たら闇魔法を見せてもらえませんか?」
ミンティアにお願いする。
「いいわよ。じゃあ私が闇魔法をかけるからほのかが攻撃してくれる?」
「わかりましたっ!」
するとすぐに魔物が出た。
もう見慣れたヘビの魔物だ。
ミンティアがカバンから短いロッドを取り出す。
「闇よ、悪しきものの視界を奪え!ダークアイ!」
すると視界を奪われたヘビがその場をくるくる回りだす。
「蒼き炎よ、光となりて焼き尽くせ!ファイヤショット!」
すかさず私が攻撃する。避けられる心配がないと倒すのも簡単だ。
「すごい威力ね。もうこの辺の魔物じゃレベルがあがらないんじゃない?」
ミンティアが尋ねる。
「そういえばレベルがなかなかあがらないな。」
ステータスプレートを見てみる。
ユウタ レベル18
ホノカ レベル14
と書いてある。
「とりあえず、明日東の街に行きましょう。もっと強い魔物がいるわ。」
ミンティアがすすめる。
「ところで、ほのか。あなた転移魔法は使える?」
ミンティアが聞いてきた。
「テンイ魔法?ってなんですか?」
「一度行った場所に一瞬で行ける魔法よ。」
すると兄が
「なるほど、ワープみたいなもんか。ほのか、試してみてくれないか?」
「わかりましたっ!お兄ちゃんのためなら何でもっ♡」
私は杖をかかげる。
(イメージ、イメージ。今朝までいた宿屋をイメージ。)
「お兄ちゃん、ミンティア、私につかまってください。お兄ちゃんは私に抱きつくように!」
ポカンっ
「調子にのるなって!」
兄が私を叩き、手をつなぐ。ミンティアも反対の手をつなぐ。
「光よ。私達を導きたまえ。テレポっ」
すると3人の身体が光の中に消えていく。
目を開けると3人とも宿屋の前にいた。
「できましたっ。さぁお兄ちゃん私を撫でてくださいっ!」
「あぁ、よくやった。えらいぞ!」
そう言って頭を撫でてくれた。
「これでどこに行ってもすぐ帰ってこられるようになったわね。」
ミンティアが話す。
「こうなったらこの街に家を建てない?宿代もバカにならないし、私も薬の調合ができる部屋がほしいわ。お金なら出すから。」
「家か、そうだな。そしたら風呂も作れるな。よし、この街を拠点にしよう。ほのかもいいか?」
兄が尋ねる。
「はい、いいですね。私とお兄ちゃんは同じ部屋でっ!」
そして家を建てることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます