グレーゾーン

小森 秋水

第0話

廃墟やバラバラになった街の中に二人の男が立っていた、一人は金髪に堅いの良い体、身長は2メートル近くまで伸びていて、両手には銃が握られていた


もう一人の男は黒髪のあどけない顔立ち、身長も日本人の平均身長と変わらない174センチ程、普通の身長だが、どうしてもこの場だと浮いてしまう、そしてそんな少年の様な男の片手にも銃が握られていた




「おい坊主、やめときな、お前じゃ俺は撃てない、大人しく俺に撃たれれば楽に死なせてやるよ」

「その場合、僕の組はどうなる?」

「そうだな、間違い無く全員殺す、その後はお前らの領地とその領地に住んでいる民は俺らの植民地といったところだ、安心してくれ、お前が死んだ後はキッチリ燃やしといてやるよ」


そういうと金髪の男は二丁の銃の引き金を引いた

「あっけなかったな」







「確かにあっけなかったな」

砂埃の中から出てきたのは死体では無く黒髪の男だった



(なに!確かに当てた筈だ、まさか俺が撃ち損じるわけがない!では何故だ!)



「お前の返答は俺を怒らせる物と見て良いんだな?」

そういうと黒髪の少年の口調、表情、雰囲気がガラリと変わった


口調は人当たりの良い物では無く、ガサツで荒っぽく、表情はこの殺伐とした、緊迫した場面なのにも関わらずニンマリとした笑顔を浮かべ、雰囲気は誰にも好かれる様な雰囲気から、誰も近づかない、近づかれない雰囲気を醸し出していた


この廃墟で埋め尽くされた世界で立場は逆転した、いや、はっきりと分かったのだ

狩るものと狩られるものが、



(なんだコイツ!さっきまでとは別人じゃないか!)



「じゃあ終わらせるか、いや、言い方が違うな、虐殺の始まりか」


黒髪の男のニンマリとした表情は狼をも萎縮させられるだろう、そのぐらいの狂気に耐えられなくなった金髪の男は、


「この化け物が〜〜〜!!!」


撃ってしまったのだ、この我慢比べの撃ち合いで、先に手を出してしまった


男の経験不足か、それとも黒髪の男の狂気に触れ耐えられなくなったか、いずれにせよこの状況から辿る未来は一つ



「消えてしまえ」




黒髪の男の言葉を最後に金髪の男はこの世から去ってしまった


辺りに飛び散った血、風が吹く廃墟の街で男は一人




「アハハハハハハハハハハハハ、アハハハハハハハハハハハハ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


高らかと笑い狂うのであった


狂気の笑みを浮かべながら



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