第26話 主人公の目的と動機、発生のさせ方

脚本の書き方の本を発行しているフィルムアート社様のカクヨムページができたので、それを読みつつ書いて見ました。


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1.主人公の目的

2.主人公の動機

3.目的と動機の発生のさせ方

4.サブキャラの目的や動機

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1.主人公の目的

主人公にはストーリー開始時から目的がある、話を開始した直後に目的が発生すると言われる場合が多いです。

しかし「巻き込まれ主人公」の場合は成り行きによりストーリーが開始されるため、その場合、目的は「平穏を取り戻す」「誰かの指示に従う」なのかもしれませんが、目的は非常に曖昧になります。

また、最初の目的は、途中で変化したり、目的を見失ったり、真の目的を発見したりします。

個人的には素人小説の場合、ストーリー開始時は目的にこだわらずに書いているうちに見えてくるもの、発見する場合が大きいかなと感じます。


(例)

桃太郎

・鬼退治開始まで、特に目的なしで成長。

・鬼退治目的:困っている町民を助けたいため。

・鬼退治結果:平和と町民の感謝だけでなく、宝の入手。

(町民から奪われた宝を町民に返却後、お礼に一部入手と思われる)

・読者に伝えたかった事:善悪の理解。善行をすると良い事がある。冒険は楽しい。


シンデレラ

・初期目的:舞踏会に行ってみたい。

・結果:舞踏会に行けたのち、王子様と結婚。

・読者に伝えたかった事:善悪の理解。善行をすると良い事がある。魔法や舞踏会が楽しい。


探偵物

・初期目的:仕事による給料の入手。困っている人を助けたい。推理したい。

・結果:初期目的が達成できたり、できなかったり。

・読者に伝えたかった事:事件や推理の堪能。解決やお仕置きのスカッと感。


昔話や民話の多くは、「子供の躾」「社会規則の理解」「社会や国家の維持」のために語り継がれているものが大半です。

伝えたいのは、良い事をすると良い事がある。悪い事をするとひどい目に遭う。努力した者が救われる。規則を破ってはいけない。

また、知識の習得として「生きるための知識」「真似しようとしている人に方法を示す」「犯罪を予防する知識や恐怖」などの効果があります。

例えば「霊に呪い殺される」とかは、「殺人をしても逃げ切れるだろう」って思う人に「でも、霊に呪われたら怖いな」と思わせます。


現在のストーリーでは、平和な世界に生きている状態では、たいした目的が発生しにくい状態です。

スポーツ小説の目的で、全国優勝・世界1を目指すみたいな。

また、異世界に転生したとか、勇者の息子なので魔王退治に行きなさいと言われたとかって、自分自身の目的とは言い難いです。


読者に伝えたい事の基本はキャラクターの魅力が主軸であれば「読んで楽しい」で十分です。

コンセプトやメッセージありきで小説を書く場合は、読者に伝えたい事をどう盛り込むかを考えた方が良いです。

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2.主人公の動機

主人公には、目的を達成したい動機が存在します。

動機が明確で強い意志があるほど、主人公が目的にこだわる意味を読者は感じストーリーに説得力が出て、共感が得られます。

よくあるパターンは、ストーリー初期に「親しい人が死ぬ」です。「鬼滅の刃」とか、ど定番な流れです。

スポーツ小説でも「病気で亡くなった親友の夢を叶える」とかだと、普通の子が「優勝したい」って言うより決意が重くなります。

「知り合いが死ぬ」「殺されかかる」「ヒーローに助けられる」などは、人生観がガラリと変わるきっかけになります。


フィルムアート社様のカクヨムページでは、以下のような感じで書かれています。

・生理的欲求

・安全の欲求

・社会的要求

・承認の要求

・自己実現の要求

ただ、生理的欲求・安全の欲求辺りだと、戦記物(ガンダムシリーズとか)や魔物侵略にあっている(「ゴブリン・スレイヤーとか)とか、「約束のネバーランド」「進撃の巨人」、怪談くらいかなと感じます。

ライトノベルのメインって考えると、社会的欲求と承認欲求が混じった「友達が欲しい、周囲に認められたい、居場所が欲しい」って面が大きいと感じます。

それに、自己実現の要求で「憧れのヒーローみたいになりたい」「夢を叶えたい」とか「彼女が欲しい」「お金が欲しい」「病気を治したい」「復讐したい」とかかと。

ポジティブな動機だけで目的達成に向かう人は、どうしてもやる気が弱いです。トラウマなどの極端な動機により目的達成に向かう人の方が本気度が違います。


「NARUTO」で考えると理解が早いかなと感じます。

・初期目的:火影(里長)になりたい。

・後期目的:忍界大戦に勝って里を守る。サスケ(親友)と仲直りしたい。

(将来的には、火影になる)

ナルトの場合、闇雲に「火影になりたい」と言っていますが、実際の動機はひとりぼっちだから「友達が欲しい、里に自分の居場所が欲しい、皆に認められたい」です。

そのため、忍界大戦が終了した時点では火影になっていませんが、そこで「なんで俺、火影になれていないの悔しい」とはなりません。

物理的な目的と、本人なりの動機を理解してストーリーを練らないと、展開に矛盾が生まれます。


「ワンピース」のルフィの場合、「海賊王になりたい」と言ってはいますが、明らかに財宝や地位への興味は薄いです。

「冒険がしたい」「刺激的な仲間と知り合いたい」「シャンクスみたいになりたい(憧れ)」が動機であり、動機的には弱いです。

家族に置いてけぼりをくらっていますが、地上での生活でも町の人に嫌われてもいませんし。

シャンクスに助けられた際に、シャンクスの腕がもげなかったら冒険に行かないのではと感じます。

義兄のエースが殺された事で、目的に深刻度が増してきています。

ただ、ストーリー的に殺伐としてきたなとも感じます。海賊なのに誰も死なないような緩い展開も捨てがたいと。

ジャンルとして、目的の緩い日常物も存在します。日常物の方が、面白く書くのは難しいですけど。


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3.目的と動機の発生のさせ方

生まれつき不幸な人は、日々目的と動機に溢れていますが、そうではなく日常生活を普通に送れている状態から、強い目的や動機を持つのは難しいです。

天災や偶然、うっかりにより、異世界に飛んだり、事件に巻き込まれたりという展開もありますが、毎回毎回、都合よく偶然が起こるのも不自然です。

そういう時に使いやすいキャラクターが、「トラブルメーカー」や「トリックスター」です。

「トラブルメーカー」は、やっちゃいけない事をしたり、勝手に人を巻き込む人です。怪談で危険な心霊スポットに行って死にかけるようなタイプ。

迷惑極まりないですが、こういうキャラがいる事で、主人公をバンバントラブルに遭遇させる、イベントに巻き込む事が可能です。

「トリックスター」は、神話や民話において「物語を展開する者」です。

いたずら者や、乱暴者などですが、それによって物事が主に好転するタイプの人気者・有力者です。

西遊記の孫悟空のようなタイプ、「涼宮ハルヒの憂鬱」の涼宮ハルヒみたいな周囲を振り回しつつ、話を展開させるタイプです。


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4.サブキャラの目的や動機

主人公と同じように、サブキャラ全員、敵キャラ全員が、目的や動機を持って動いています。

同じ組織やグループに属していても、その行動原理は違います。仲間でも状況が変われば対応が変わったり離反します。

敵も、ただの悪者ではなく、スター・ウォーズのダース・ベイダー並みの暗い過去があった方が説得力が出ます。

語り過ぎてもウザいし、語らなさ過ぎても意味不明なのでさじ加減が重要です。


以上。

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