第25話 性的表現について

何も考えずに好きに文章を作成しているうちに、「あれ? この考え方はおかしい? 実は性差別や性の商品化だったりするかも?」と考えてしまう機会が多々あります。


文章は自分の本性や深層心理を露わにしてしまいますが、自己の評価を落とすだけならまだしも読者の考え方に影響を与える、悪い心理を応援してしまうと厄介です。

作品の中には、泥棒や殺人などのコンテンツがウヨウヨしているのだから、性的表現もファンタジーで当然でしょ、誰も真似しないよ、って言えないのが実態で「現実でのシュチュエーションに近い犯罪や差別」に関しては影響を受ける確率は高いです。現実問題として、作品を真似て強姦する人は少ないですが、作品を真似て電車で痴漢をする人はウヨウヨいます。


・恋愛表現が、なぜか外見ばかりを褒めている。

かわいいやかっこいいを描く際に、私は「艶やかな黒髪。澄んだ瞳」みたいな臭いセリフを吐く派ですが、ふと「これって、その人の外見が好きなの?内面ではなく」と自己ツッコミを入れる事があります。あばたもえくぼで、「自分が好きだから普通外見が素敵に感じる」とか、「好きになったきっかけは外見だけど、その後は性格も理解して」って言うなら良いですが、そうではない場合は、動作や性格を褒めていかなければ「外見以外はどうでもいい」みたいな薄い恋愛、相手に対して失礼な考え方と感じます。ファンタジーくらいは外見重視で美男美女を出したい!見たい!って夢も尊重しつつも、やりすぎてしまうと、外見が悪い場合は恋愛対象外、ブサイクに変化したら嫌いみたいな表現になってしまいます。また、恋愛物にありがちな地味な子が、美女や美男にモテまくるハーレム的な場合に「地味でも性格が良ければモテる!」って言いつつ、「自分から求める恋愛対象はイケメン(イケジョ)に限る」って言うのは、「性別による差別(女性はかわいくないと恋愛価値はないが、男性はかっこ良くなくても恋愛価値があるみたいな)」や「交際相手がファッションアイテム」的な表現と映る場合があります。


女性がBL表現を好む理由の1つには「ヤリ目的(胸と尻)」や「家事力目的」「出産機能目的」ではない形での恋愛スタートがあるのではないかなと感じます。もちろん、男性的な肉体魅力を性的に感じて「ヤリ目的」恋愛スタートみたいな作品も多数ありますけど。外見スペックがゼロに近い状態での恋愛スタート(シュレックみたいな)の場合、内面を重視していると感じますし、美女と野獣のように結局はイケメンになるんかいって言うのは、ぶさ夫で性格良くても不可みたいな発言に近いのかなと感じます。


・社会的成果をあげると、ご褒美に彼女がもらえる謎。

少年漫画やRPGにありがちな「試合に勝ったら彼女になってくれる」「魔王を倒すと姫が惚れる」。他の事を頑張る姿を見て、女性が評価をしてくれるって事もありますが、想いの人と会話したり、一緒に行動する体験なしになんでカップル成立するのよ?って面では大きくおかしいです。差別用語で「トロフィーワイフ」と呼ばれ、社会的成功をしたから美人の嫁が手に入ったみたいな「仕事(試合)を頑張れば嫁(彼女)がゲットできる」みたいな女性の人格を無視した考え方です。また、女性側から見ても「社会的成功をしていない男性には付き合う価値がない」みたいな主張となってしまいます。


・童貞や処女への差別

世間一般ではやたら童貞を恥じるような考え方がはびこっています。しかし、意中でもない相手と、とりあえず適齢期だから卒業しておかないとで行為に及ぶ男性って、その方が最低です。行為をした人数を誇るような表現も、女性と交際機会に恵まれたけど長続きしませんでしたって失敗を自慢してどうする?って感じです。行為をしたかしていないかや回数や人数で評価する自体が大間違いであり、差別である事を自覚すべきです。男性は経験値が多い方が良いけど、女性は未経験が好ましいって考え方も男女差別です。初交際で結婚する人など少ないのだから、男性が複数経験ありになるのと同じで、女性も当たり前に複数経験ありになります。ファンタジーにリアルな現実など見たくないのも確かですが、そういう表現は避けてではなく「これは実際には差別ですよ、ファンタジーだよ」って言う注意書きや、説明を書く事が大事です。


・パンチラは、見られた方は最悪

ラッキースケベの一部は、男女の関係でない間柄であれば、被害者は非常にショッキング、不快感です。「いいもん、見れたぜ!やったー」と思うべきではない事態です。見られてしまった相手の精神を思いやる必要があります。ラッキースケベ的なネタ自体はありと感じますが、お互いに見ても良い関係同士での展開や、公表範囲に対する配慮(全年齢では多くは問題あり)や、注意表記が必要です。また、公共の場で「パンチラいいよね、ハアハア」って言うような言動は、パンチラ被害者・子持ちの親から見たら恐怖でしかないです。公共の場でBL婦女子が生々しい萌えを話していたらドンびくのと同じで、「あくまで同じ趣向を持つ大人の集団内でファンタジーとして嗜む」必要があります。世間は男性の性的発言に寛容すぎて、女性の性的発言に厳しいです。男性は「おっぱい大好き!」って叫んでパンチラを立ち読んでオッケーで、女性はアウトではなく、双方が公然で現実でアウトな性癖をばら撒かない配慮が必要です。


・愛情のない性行為表現について

うっかり事前知識なしでアニメ「回復術師のやり直し」の1話を半分まで見て、嫌悪感マックスで録画消去して、このページを書こうと思いました。現在において、あの作品が実質年齢制限のない深夜放送で放送できる事自体に大きな危機感を感じ、KADOKAWAに幻滅しました。深刻な女性蔑視なので年齢確認必須のAVコンテンツ(陵辱・強姦などの取り扱いゾーン)で放送してよと。


ただ、冷静に考えると「家族を殺された仕返しに、相手を殺す」とかは自分の作品倫理的には、ファンタジーとすればセーフです。性的な表現は現実であり得ると感じる恐怖からかなと考えたのですが、ドラマ「特命係長只野仁」が、出会い頭に秘書などを体で落として情報を収集しても、自分的にはギリセーフです。それは偽りであれど「女性に尽くす意思」が感じられるかななのかな?と考えます。しかし、ゲスい主人公が悪徳金持ちなどの女性を手玉にして、殺して財産を根こそぎ奪うとかでも、自分的にはギリセーフです。これは「ゲスい主人公にゲスい事をしている自覚があって、嫌悪感を持って行動を行っているから」かなと。


そこまで認識した上で、なぜ「回復術師のやり直し」に激しい嫌悪感が湧くかを考えた所、「主人公が復讐ついでにエロい事が出来てラッキー、俺は正義」って考え方にゾッとする、自分が間違っている事に気が付かずにゲスい行動を行う主人公を推奨・擁護するストーリーかなと。「俺は悪くない、俺を貶めたお前らが世界が悪いんだ、だから自分がどんな復讐をしても許されるはず」みたいな所だなと。


あの世界の中の価値観が「勇者であるだけで世界的成功で女性が群がる」であり、それを当然で世の中の摂理とする状態。幸運のネックレスがあれば、努力皆無で札束風呂に入れて女性が抱き放題な「努力も人格も価値を見出さない」世界。性的ご褒美としか認識されない女性の扱い方。AVレベルの内容は、深夜でも「成人男性に配慮はするけど、成人女性には配慮をする必要がない」と胸を張る女性蔑視。同じ内容でブサイクメスゴブリンとかに男性が抱かれまくるアニメとかをたれ流したら、男性から苦情は出ないのか。成人作品として否定はしませんが、それは女性に配慮して女性のいない場所でこっそり見る「強姦物・陵辱物 AV」の類でしょう。


作品を批判するなら最後まで見てと言いたい所ですが、生理的に無理なので正確な評価はできませんが、あれを大衆向けに認めてしまう社会が怖いと感じます。



以上。

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