第22話 ハーレム設定について
近年、流行りのハーレム設定ですが、ハーレム設定自体は以前から(特に漫画やアニメを中心に)王道設定として存在し、一定層に人気があります。ただ、近年、ハーレム設定ではありながら、以前と細かいニュアンスの変化を感じます。
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ハーレム設定とは
作品の主人公(男性でも女性でも)が、不自然なほど「作品内の恋愛対象年齢の異性のほぼ全員」からモテる設定を指します。同世代に加え、年上や年下も含みます。場合や趣向によっては、「恋愛対象になりうる同性や種族の違う存在」からもモテます。
日本においては、成人向けコンテンツ以外では、全員と交際していない関係(主に先方の片思い)、もしくは主人公にとって本命や交際相手は1人の場合が多いです。
現代の日本は一妻一夫制であり、複数との同時交際は不誠実と思われる場合が多く、複数との同時婚姻は認められておらず、不倫は結婚相手の合意がなければ法律違反になります。
ラッキースケベと呼ばれる不自然に偶発的な事故により、肉体の密着や性的接触・肌の露出はあるものの、主人公が自主的に性的な関係を迫るのは、下心丸出しではしたない(下品な表現としてヤリチン・ヤリマン)と捉えられる場合が多いです。
一部設定として、全ての能力の高いヒーロー(ヒロイン)が多数の異性を仲良く囲う(一夫多妻制や多夫一妻制に近い)タイプや、いつも手当たり次第異性にアプローチをかける二枚目半(三枚目)タイプが存在します。
ハーレム設定は、リアリティーは求められておらず、ご都合主義な展開、性格設定が多く見受けられます。現実ではあり得ない事を理解しつつ、フィクションを楽しむ分野です。
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複数の異性にモテたら嬉しいのか?
特定の片思い対象がいる人の場合、複数の異性を日毎にとっかえひっかえしたり、同時にモテモテより、本命の人と長い時間、ふたりっきりで一緒にいる事を望むのが普通です。つまり、自分が興味のない異性の主張は、本命と付き合う障害でしかないです。
その事から、ハーレムの主人公は本命がいない、もしくは本命はいるものの、さほど思い入れが強くない状態と言えます。読み手感情としては、異性に対して「本命との交際を味見したい」ではなく、「たくさんの人数を味見したい」「多くの人数を手に入れる事が優越感や羨望の対象」と考える場合が多いです。
一般的に、男性主人公に対して、人数経験が多い、多くの心を射止める事が凄い・かっこいい・羨ましいと感じる男性読み手は多いです。そういった男性主人公に対して、女性読み手の場合は、かっこいいと思う場合と、最低な女たらしと感じる場合とで、評価は分かれます。
逆に、女性主人公が、人数経験が多い、多くの心を射止める場合、素敵・かわいい・羨ましいと感じる女性読み手がいる反面、最低な男好きと捉える場合もあります。男性読み手は、女性主人公のハーレム状態に対して嫌悪感や好意的でない場合が多いです。
現代の日本観念として、「男性は不倫や浮気は普通で雄だから当然や仕方ない、そのくらいの方が男らしい」みたいな考え方があり、「女性は禁欲的に貞操を守って、できれば処女が好ましい」的な差別思想が根強くあります。女性の権利上昇・社会進出により、女性が男性をはべらすような、女性の男性思考化は増えてきましたが、未だ、同等にはなっておりません。
ただし、最近ジェンダーのように自分の性別に囚われない思考の人は増えてきており、男性でBLを読む、女性で百合を読むように、男性主人公が多数の女性にモテる話を読んで女性キャラに萌える女性や、女性主人公が多数の男性にモテる話を読んで男性キャラに萌える男性なども増えてきています。
そういった人達の多くは、多くの作品を読む中で「なんでもあり」な思考に陥っている場合が多く、そういう思考があるからといって自身がジェンダーな訳ではありません。読み手は作品の主人公に自己投影する場合が多いですが、「自分がキャラを演じている」と考えれば、キャラが男性でも、女性でも、動物でもいいみたいな感覚です。
女性の方が、男性キャラクターに自己投影する確率は高いと感じますが、娯楽コンテンツにおいて女性が自由に活躍する作品が少なかったためと、女性差別により現実において言動や行動に制限がかかり、男性的な行動ができない不満が多かったためと思われます。
健全な男性向け作品は、男性が夢を追いながら恋愛要素も入るものが多いですが、健全な女性向け作品は、恋愛がメインで他に夢も個性もないものが多く(特に少女漫画)、恋愛に興味が薄く、自身の夢を追う女性にとっては、魅力的な作品が、健全な男性向け作品しかない状況が長く続いてきました。近年は、恋愛メインでない女性向け作品も増えてきてはいます。
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ハーレム設定の種類
・優しい弱虫タイプ
地味で勉強も運動も得意でない凡人でモテない主人公が、何かのきっかけで突然モテモテになる王道展開。
その代わり、努力家で優しい・勇気がある・信念を貫くなどの性格面での魅力がある場合が多いです。近年の異世界ファンタジーなどのチートとハーレム展開に関しては、性格面でのスポ根的な魅力(地道で不器用な努力)がダサいと感じる層が増え、「努力しないで結果を得る(課金やチート上等)のがクール」「無駄な努力を諦める(悟り世代)のがクール」などの「努力に希望が感じられない若年層」が増えてきています。
作品例
・アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」
・漫画「フルーツバスケット」
・小説「アクセル・ワールド」「涼宮ハルヒの憂鬱」
・ゲーム「アンジェリーク」
・スケベ二枚目半(三枚目)タイプ
外見は美形(美女)が多く、勉強や運動などの能力はできるタイプとできないタイプと分かれますが、登場する異性に片っ端から交際を迫って振られる、もしくは本命に相手にされないタイプ。表面上、振られてはいるものの、好感度は高い、ラッキースケベが多いなどで、最終的にキメる所だけキメて、かっこいいシーンで締める展開が多いです。普段がだらしないため、たまに見せる真面目や高スペックが高評価(ギャップ萌え)となります。「優しい弱虫タイプ」が恋愛に奥手なのに対して、こちらのタイプでは積極的に相手にアプローチしたり、下心が丸出しだったりします。
作品例
・漫画「ルパン三世」「シティーハンター」
・小説「Re:ゼロから始める異世界生活」「この素晴らしい世界に祝福を」
「化物語」
・俺様ヒーロータイプ
外見は美形(美女)で、勉強や運動も得意で、その代わり、わがままや変人・気分屋などの性格に難があるタイプ。恋愛には鈍感で無関心なタイプと、全異性にモテて当然的な自意識過剰なタイプに分かれます。
・漫画「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」
・実写ドラマ「ガリレオ」(推理)
・完璧ヒーロータイプ
外見は美形(美女)が多く、勉強や運動も得意で、性格も素敵なパーフェクトタイプ。すべての異性の心を捕らえても、無関心やナルシストな場合が多い。アメリカやイギリス映画であれば、能力がパーフェクトが男性が、惚れた女性全員に手を出しても魅力的だから当然、手を出された女性も名誉と捉えられる気質があります。肉体関係を持つのは、男性主人公で男性読み手で成人向けであればありですが、女性目線では相当なカリスマ性のある男性主人公でなければ不評が多いです。イケメンアイドルや歌手の「○○君になら、一夜限りでも抱かれたい」レベルでないと難しいです。
作品例
・小説「オーバー・ロード」「魔法科高校の劣等生」
・実写映画「ジェームズ・ボンド」
・実写ドラマ「特命係長 只野仁」
以上。
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