第16話 魅力的なストーリーとは

一般論ではなく自論でお話しします。


魅力的なストーリー展開とは、3つの方向性があります。


・読者の望む展開

・読者の予想を良い意味で裏切る展開

・知りたい知識が学べる展開

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・読者の望む展開

いわゆる王道ストーリーや、定番の展開が繰り返されるストーリーです。水戸黄門は「いつだって最後には印籠を出して、相手がひれ伏して終わる」みたいな、展開は予測できるけれど、「それが欲しかったんだよ!」という読者の想いに応えてくれる作品です。難問題を爽快に解決するパターンが多いです。

言うなれば、いつもの飲食店に行って、大好物の料理が、いつも同じ味で提供してくれる安心感です。

例えば、大人気ドラマのドクターXは、医療ドラマでありながら「絶対に患者が助かるハッピーエンドで終わる」という安心感から、誰かが死ぬ恐怖に怯えないで見られる利点があります。

ストーリーを考えていると、斬新な話、奇抜な話を生み出さないとと考えてしまいますが、根底の部分は比較的ありきたりで、それをどううまく文章に落とし込むかって面が大きいです。

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・読者の予想を良い意味で裏切る展開

読者の展開予測を飛び越えて、「何だと?」「やられた」と読者に思わせるストーリーです。かぐや姫のように「どの男性と結婚するのかな?」と思って読んでたら、「月に帰るのかよ!」みたいな展開です。「どんでん返し」などと呼ばれます。星新一の短編は、このタイプが多いです。


パターン0(定番)「AかBか選べ」というシーンで、どちらかを選ぶ。

パターン1「AかBか選べ」というシーンで、Cを選ぶ。

パターン2「AかBか選べ」というシーンで、両方を選ぶ。

パターン3「AかBか選べ」というシーンで、どちらも選ばない。

パターン4「AかBか選べ」というシーンで、選んだのに別のアクシデントが起こる。


(例)恋愛物であれば

パターン0 A子とB子に告白されて、A子とハッピーエンド。

パターン1 A子とB子に告白されて、実はC子が好きと告白してハッピーエンド。

パターン2 A子とB子に告白されて、両方と付き合うハーレムエンド。

パターン3 A子とB子に告白されて、どっちも好きじゃないと断る。

パターン4 A子とB子に告白されて、A子を選んだはずなのに、実はふたりが入れ替わっていたなど。


(例)戦闘シーンであれば

パターン0 山から攻めるか、川から攻めるかで、山から攻める。

パターン1 山から攻めるか、川から攻めるかで、空から攻める。

パターン2 山から攻めるか、川から攻めるかで、両方から攻める。

パターン3 山から攻めるか、川から攻めるかで、撤退して逃げる。

パターン4 山から攻めるか、川から攻めるかで、山から攻めようと思ったのに山火事発生など。

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・知りたい知識が学べる展開

小説でありながら、知識が学べるストーリーです。例えば、事件物は、警察や探偵がどういう捜査方法をしているか知りたいとか、犯罪者の心理が知りたいとか、死体に興味があるとか。ドラマの科捜研の女は、科学捜査って、どんな手段があるんだろう?と興味がある人も見ます。

妖怪の出てくる話や、宗教や呪術が出てくる話なども、ストーリーとは別に「妖怪が知りたい」や「宗教や呪術が知りたい」で読む人も多いです。

ライトノベルで、ライトノベル作家が主人公な作品、漫画で駆け出しの漫画家が主人公の作品は、プロの作家って、どういう暮らしをしているんだろうなっていう興味から、手に取りやすいです。

スポーツ漫画だと、「その漫画を読めばルールが理解できる作品」があるように、特定の専門分野の知識が得られる作品は、その分野に興味がある人にとっては教科書のような存在になります。

たとえとして、小説は「他人の人生が簡単に味見できる本」などとも呼ばれます。

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何が魅力のストーリー?


ストーリーを作る際に、何となく思いついた話を書くみたいなパターンが多いと思いますが、何の魅力をアピールするかを明確に意識して「盛りたい部分を盛り、不必要な部分を削る」方が、その魅力が読みたい読み手を引きつけます。


・特定キャラのためのストーリー

・名シーンを魅せるためのストーリー

・特定の思想を伝えるためのストーリー

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・特定キャラのためのストーリー

いわゆるキャラ小説と呼ばれる「かっこいいキャラの格好良さを満喫する」「かわいいキャラの可愛さを満喫する」「変人なキャラの変さを満喫する」ためのストーリーです。キャラ好きからの二次創作小説は、このパターンが多いです。ストーリーの結末より、ストーリーの過程において、キャラクターが「どうリアクションを取るか」外見描写や、細かいセリフや仕草、そのキャラの行動が萌えるかどうかが重要です。曖昧な世界設定やご都合展開など、萌えに必要ない部分は切り捨てるのも十分にありです。

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・名シーンを魅せるためのストーリー

特定のキャラに固執するのではなく、「素敵告白シーン」「大災害シーン」「凶悪事件シーン」など、人物よりも出来事や情景を重点にしたストーリーです。自身の描きたいシーンのために、それに見合った人物像を書き起こし、前後に違和感のないストーリーを付け足していきます。違和感のないストーリーを付ける際に文章量が多くなりすぎて中だるみ「魅せたいシーンまでに読み手が飽きてしまう」失敗をやりがちなので、魅力的なシーン以外は、できるだけ削ぎ落とした方が良いです。

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・特定の思想を伝えるためのストーリー

「反戦」や「努力は報われる」などのテーマを持ったストーリー。作品内の出来事や、キャラクターの言動が、何を伝えているのか、どういう影響があるのかをきちんと考えて理論的に展開を考えるべきです。なんとなく、ここにこのシーンが入れたいとか、適当な会話を挟みたいとかすると、テーマがぼやけていきます。


以上。

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