第15話 同人誌を作ってみる?

!!注意!!

カクヨムでは、掲載作品の同人販売に関して「同人誌販売(即売会・同人誌流通)・電子出版を行なうにあたって、カクヨム上で販売に関する告知・宣伝を実施することは、第12条(営利目的利用の禁止)に抵触する行為となります。」との規定がありますので、ご注意ください。



小説を書く者としては、紙で本を作って残したい、配布(販売)したいと思う人は多いです。しかし、現実的に考えて、相当PV数が高くなければオリジナル作品での同人誌の配布は、非常にハードルが高いです。ただし、二次創作のそこそこ人気ジャンルであれば、小説であっても小規模の需要は得られます。実体験での経験含めて語ります。ジャンルや作風により異なるでしょうけど、アニメ化作品でPixivにおいてフォロワー500に対して50〜100冊程度(全年齢)の手応えがありました。成人向けであれば、もっと需要は増します。ここから先は二次創作の小説の前提で話します。

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・同人誌ってイベントに頒布に行くんでしょ?


コミケなどでイベント出店して売り子をやるのはハードルが高いと感じる人は多いです。しかし、時代は変わりました。二次創作であれば、大手の同人誌販売委託会社(主に「とらのあな」)に販売委託すれば通販が可能です。(委託会社が本を取り扱うかの審査はあります。自身のサイトのアクセス数がほどほどにある、イベント会場委託実績など、評価を取り繕う事は必要です)イベントによっては、イベント会場での業者販売委託(スタジオYOU)が募集されています。

また、PixivBOOTHのようにお互いの個人情報を守りつつ、住所や口座名を明かさずに商品を受け渡しする事も可能になりました。業者に委託する分、手数料は多くかかりますが「ほぼ引きこもり状態」で自身の小説を販売する事が可能です。

イベントは、イベントに来た人しか買えません。日本全国で自身の小説を読んでいる人が「地方に分散している」と考えた場合、イベント売りより、大手通販の方が需要や宣伝に効果的です。PixivBOOTHのような個人通販に近い形は、普段からアクセスしている読み手は気が付きますが、ジャンルファンを呼び込む事が不可能です。

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・印刷用の原稿って素人で作れるの?


現在一番簡単だと思うのは、Pixivプレミアムで文章配置してデータ化するのが早いです。表紙絵が描けないって場合は、無料素材を組み合わせたり、文字のみ表紙や、絵師さんに頼んで描いてもらうなどの方法があります。印刷会社によっては、ウインドウズ版ワードでの文字組みフォーマットが無料ダウンロードできたりするので、そういうのを使うのもありです。個人的には、誌面構成ソフトAdobe InDesignを使っています。プロユースなので贅沢な使い方ですが、大量の文章を流し込むのに非常に楽です。小説として本にするなら50〜100ページくらいのボリュームが欲しいです。

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・印刷ってお高いんでしょう?


もちろん安くはないです。手元に、無駄使い可能な数万円を用意してください。小ロット印刷で本の実売価格を考えれば、本の印刷代の方が高額(赤字)になる場合の方が多いです。仕事だと思うと赤字ですが、趣味だと思えば、趣味にお金がかかるのは当然です。ただ、最近はコピー本やオンデマンドなど、小ロット印刷(10冊程度)でも価格は下がってきています。安い印刷は、安いなりの出来(紙質が悪い・裁断面が汚い・印刷が汚めなど)の確率は高いです。読めればいいと考えるかどうかです。また頑張れば、コピー本程度はコンビニ出力やキンコーズでも作れます。小説はページ数が多くないと需要が少ないので、自作は根性ですけど。

未成年での印刷所使用は難しめですが、大人であれば、メール見積もりして、データをデジタル入稿(ネット経由)、部分的には電話確認があったりしますが、ネットや銀行口座決済して、あとはドーンと納期に本が家などに届けられます。昔みたいに印刷所に行って打ち合わせや、入稿原稿持ち込みなんて時代は終わりました。印刷会社にもよりけりですけど。ただ、紙見本など、実物を見ないで決めるので、たまにイメージと色が違うや、予想以上にペラペラじゃんなどの失敗は起こりえます。

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・お金がかかるならデータ販売でも良くない?


素人小説のネット版を有料で買う人は稀です。紙での同人誌の需要は「本の形で読みたい」「手元に残す意味がある」と感じる本信者が多いためであり、ネット小説が有料になった時点で「課金してまで読まない」という人が大多数です。漫画やイラストと違って文字は、画面でも誌面でも画質に変化はありません。

また、著作権としてグレーゾーンな二次創作において、コストのかからないデジタル頒布で利益を得るのは、完全営利目的で悪質で許されないという考え方もあります。見解は、人によって異なります。

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・内容って再録と新作、どっちがいいの?


ジャンルとして十分に無料作品を公開した上での新作がメインです。ネットでいつでも読める作品・一度読んだ作品をお金を出して手元に残したいって思うのは、よっぽどのファンだけです。新作を中心に、ネット公開作を非公開に切り替えて再録するのは(一般投稿サイトでは)アリです。カクヨムでは規定により、カクヨム掲載作品を同人誌再録するのは不可です。

不特定多数に向けての頒布を考えず、自分の手元に残す、友人に配る用の本であれば、内容は自由です。


カクヨムでは、「同人誌販売(即売会・同人誌流通)・電子出版を行なうにあたって、カクヨム上で販売に関する告知・宣伝を実施することは、第12条(営利目的利用の禁止)に抵触する行為となります。」 「当社が指定した作品の二次創作作品の投稿は「カクヨム」上に限ります。但し、著作権者が他社サイトにも許諾している場合は除きます。」との規定があります。ここに記載されている「著作権者」は、原作作者や版元の事です。


カクヨム掲載作品ではない作品をTwitterで宣伝(カクヨムの承認・保護範囲ではないグレーゾーンの同人活動)はありでしょうけど、普段の読み手を同人誌の購入サイトに誘導する意味では、カクヨムは適していないです。カクヨムは著作権的に合法な著作権者合意の上のサイトであり、他の二次創作投稿可能・同人誌宣伝可能サイトは、著作権者無許可なグレーゾーンとなっています。


金銭を頂いて頒布する以上、クオリティの高い作品を提供するのが当然ですが、本での購入者は少ないため、普段のPV(閲覧数)に比べて読み手の人数は激減します。渾身の作品が多くの人の目に触れないって意味では、書籍化はデメリットです。基本的には、本の完売か、一定の販売期間終了(売れ残りを見限る)に合わせて、書籍化新作をネットにて再録するのが一般的です。カクヨムでは、書籍化作品のカクヨム再録は不可です。あまりに早期に再録してしまうと、購入者の人がメリットを失います。

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・いくらで頒布すべき?


本の価格は、「本を作るのにかかった価格」ではないです。「本を買いたいと思った人が買ってもいいなと思える価格」です。赤字覚悟で安値で提供した方が売上数が上がります。それとも、この価格で買ってもいいと思える人にしか売る気ないよとお高くとまるかは自分次第です。かかった費用を取り戻そう、利益を上げようと思って欲張ると、1冊も売れなくてむしろ赤字ってパターンになりかねないので、最初は無料で配ってもいい程度の気持ちで挑むのが正しいです。個人的には、A5サイズで1ページ5円(100ページの本が500円)から始めて、1ページ10円(100ページの本が1,000円)で落ち着きました。

漫画やイラストの二次創作同人誌においては、1ページ20.8円(48ページで1,000円)前後が市場価格なので、小説は漫画より大幅にページ単価は安いです。

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・なぜ、同人誌を作るのか?


同人誌は、大手サークルでなければ儲かる事は、めったにないです。ではなぜ、赤字と労力をかけて、読み手を選別してまで同人誌が作りたいのか、実際に作る前に考えた方が良いです。

「紙の本で作品を形にして残したい」

「友達に自慢して配りたい」

「本作り体験をしてみたい」

「お店屋さんごっこがしたい」

「素敵サークルさんと交流したい」

「自分の価値を客観的に確認したい」

「世界に挑んでみたい」


個人的な感想を言えば、もちろん「楽しい」です。

ただ、数年続けてチャレンジ精神や自己承認欲求などが満たされちゃうと、手間をかけるよりネットで無料公開で見てくれる人が多い方がいいかなと思うのが実感です。


以上。

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