小説を書くのに便利な情報をまとめてみた

第11話 著作権（人名や曲の使用など）

歴史的人物・現在活躍している有名人の名称の使用

歴史的人物については、通説として第二次世界大戦頃までの人は平気と言われています。

ただし、人物を誹謗中傷するような内容や、事実誤認するような内容は、クレームになります。

大幅にフィクションを盛り込んだ設定の人物改変については、遺族や信仰者からクレームが来る場合があります。うちのご先祖様が女体化しているなんて言うのは、失礼極まりない話です。

（元ネタ）織田信長

（平気）小説内で、歴史の会話で「織田信長の話」をした。

（平気）織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました（小説）

（平気）魔王信長の転生スローライフ 我がニート生活は異世界にあり！（小説）

※織田家第18代当主（現存）は、相当に寛大なようです。

（元ネタ）中島敦・太宰治など

（平気）文豪ストレイドッグス（漫画・小説）

（平気）文豪とアルケミスト（ゲーム）

※これらもよく遺族が怒らないものだなと感じます。個人的に文豪のファンとしてはイラっとします。

日本では許される人物ネタでも、海外では大問題な内容には、充分にご注意ください。

2018年、コロコロコミック3月号の漫画「やりすぎ!!! イタズラくん」において、チンギス・ハンのイラストに男性器の落書きを掲載して、モンゴル大使館から抗議を受けました。

３月初旬に発売停止、購入者への返金にも応じました。ただし、3月号の発売期間は2月なので、事実上の売り逃げです。

現在活躍している有名人については、小説内の会話に出てくる程度では法律上は問題ないです。

しかし、誹謗中傷・名誉毀損・トラブルの可能性はかなり高いので、伏せ字や類似名を使うのが妥当です。

小説内で有名人が活躍するのは、ナマモノと呼ばれ基本的に名誉毀損に当たるので避けてください。

特にジャニーズ事務所の取り締まりが厳しいと言われています。

現実的に事務所が動くと言うよりファンが自衛監視しており、安易に公共性の高い空間に公開すると激しく叩かれます。

（元ネタ）安倍晋三（総理大臣）

（平気）小説内で、安倍晋三がテレビに出演していたのをキャラクターが見た。

（名誉毀損）安倍晋三が、ファンタジー世界でモンスターと戦う話など。

特殊例

T.M.Revolutionの西川貴教は「自分の出ている同人誌が欲しい」と公言し、コミケにも参戦しました。

西川貴教に関しては、本人許可により二次創作可能です。

−−−−−−−−−−−

曲名・歌詞の使用

曲名を、小説タイトルや小説内に書くのは合法的に可能です。

ただし、「権利者や商品利用者の利益や気分を害する」場合や「権利者の発売する書籍や商品と勘違いさせるようなタイトル」はクレームになります。

人気曲の名前をタイトルにつけて、内容に関係なく曲ファンが思わず買ってしまう・読んでしまうような展開、曲ファンをホイホイする（釣る）ような行為は違法・悪質です。

人のふんどしで相撲をとってはいけません。

歌詞の使用に関しては、著作権があります。

歌詞の著作権期間は、日本では作者の没後50年です。

海外曲・国際法でTPPが発動すると没後70年になります。

ただし、訳詩は、翻訳した人の没後50年（国際70年）ですので要注意です。

※例外として、没後年数が経っていても各国法律により著作権の生きている曲も存在します。特にアメリカは要注意です。

著作権期間の切れた歌詞や、作った人が不明の歌詞は、小説タイトルや小説内に書く事が可能です。

知的財産権のない・知的財産権の切れた状態を「パブリックドメイン」と呼びます。

（著作権切れ）どんぐりころころ

（作詞・作曲不明で歌詞使用可能）冬景色

著作権のある歌詞の使用範囲に関しては、見解が様々に分かれています。

日本で商業曲の大半の権利を管理するJASRACは、ほんの少しでも歌詞を使用したら使用料を払うべきと主張しています。

公式の歌詞掲載サイトは、転載を禁止しています。

しかし、日本の法律には「引用」著作権法32条が存在します。

引用は、公表されている著作物に対して

「引用部分とそれ以外の部分の主従関係が明確（自分の文章がメインで引用は少量）」

「引用部分を明確に分かるように示す」

「引用の必然性がある（例えば、売上やアクセスアップ目的などではない）」

「引用元を明記」などすれば可能です。

この「引用の主従関係」の引用の量がどの程度なのかが明記されていないため、人により解釈が違ってきます。

「１行なら引用してオッケー」な人と「１番までは引用してオッケー」な人と「詩の全て引用してオッケー」な考えの人が出てきています。

詩の全てを引用しては少量じゃなくて全量でしょうと感じますが、自分の文章が100行あって、詩を10行引用した場合、自分の文章に対して少量ですと言えます。

詩の全ての引用がダメと言ってしまうと、俳句の引用で１句丸ごとはダメなのか？と言われると、１句の半分の引用では意味不明な場合が多いです。

ただし、歌詞を一部だけ切り取って使用した場合、当たり障りのないよくある歌詞であれば、そこに著作権はありません。

「愛してる〜」とか「あなただけを〜」とかです。

2006年に、槇原敬之作詞作曲の提供曲「約束の場所」で「夢は時間を裏切らない　時間も夢を決して裏切らない」と言う歌詞がありました。

これに対して松本零士が、銀河鉄道999の漫画内のフレーズ「時間は夢を裏切らない　夢も時間を裏切ってはならない」に似ていると訴訟を起こしました。

裁判にて著作権侵害には当たらないと判断され、ゴタゴタ揉めたのち和解しました。

歌詞をどう使うかは個人の判断次第ですが、安全策を取るなら「有名曲と似たような架空の歌詞」で誤魔化すのが一番です。

また、小説公表サイトによっては、揉め事防止に規約やQ&Aで「歌詞の転載禁止」を明記している場合があります。カクヨムには、明記がないです。

規約が「他者の著作権を侵害しない」までの表記か、「歌詞の転載禁止」までされているかは、公表前にご確認ください。

！！注意！！

ニコニコ動画のボーカロイドなどの個人のオリジナル曲・パロディ曲のタイトルや歌詞を小説内で使うのは、マナーとして許可が必要。

商業発表曲ではなく、自分が個人的に書いた曲が、他の個人が書いている小説内に登場しているとかは、見つけたらびっくりします。作者や関係者、ファンなどからクレームが来る可能性が高いです。

！！注意！！

ニコニコ動画やyoutube、Yahoo!ブログなどは、JASRACと包括契約により、「歌ってみた」や「歌詞の掲載」が可能です。しかし、替え歌は、包括契約に含まれず著作者の許可が必要です。

以上。