第7話 R-18・R-18Gについて

カクヨムの場合、セルフレイティングは以下の3つです。

・残酷描写有り(R-15G)

・暴力描写有り(R-15G)

・性描写有り(R-15)


セルフレイティングとは、「作品投稿者が行なうラベリング設定」です。

カクヨムは、15歳未満に見せると良くない表現"R15”相当でラベリングを求めていますが、世間一般ではR-18・R-18Gで表記・区分される場合がほとんどです。

カクヨムはR-15規定しかなく、R-18・R-18G作品を年齢制限で閲覧禁止にできません。その上で「表現についてご留意いただきたいこと」で「性的」や「暴力」や「残酷」が語られ、「割合が大きい場合は、修正依頼や削除」と書いてあるので、事実上、年齢無制限のほぼ健全作品の投稿を推奨していると考えて良いと感じます。これは……正直、青少年によろしくない状況です。


実際問題、商業作品において、ほとんどの小説はレイティング表示なしに販売されています。一般書店店頭や図書館に区別なくR-18・R-18Gが紛れ込んでいる状態です。漫画・イラスト・写真・映画・ゲームにおいては比較的規制があるのに対して、小説分野は無法地帯とも言えます。若年者は小説を読む可能性が低い、読者が犯罪に走る可能性が低いためだと思われますが、商業で規制が明確でないため、趣味で書く場合に何を基準にセーフかアウトかを判断するのが困難な状態でもあります。

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なぜ、R-18・R-18Gが必要なのか?


1つは、青少年健全育成条例を守るためです。青少年(18歳未満)に、健全な育成を妨げるようなコンテンツを提供すると、提供した側が罪に問われます。商業作品の書店販売においては、青少年健全育成審議会にて有害図書(不健全図書)に指定される場合があります。発売禁止(発禁)ではないので、シュリンク梱包で中身が見えない状態で、19歳以上には販売可能です。完全自殺マニアルは有害図書指定です。


もう1つは、刑法175条(わいせつ物配布等)を守るためです。わいせつな小説を書いてもいいけど、世間一般に何の警告もなしに丸出しモロ見せするのは犯罪です。つまりは、見たくない人には、見ないで済むようにする事、希望者のみが見られるようにする事が大切です。画像・写真やイラスト・漫画の場合は、見たい人向けでも、修正黒塗りやモザイクなどの規制がありますが、小説の分野に関しては「表現が禁止されている内容」は聞いた事がありません。

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R-18・R-15って、高校3年生や中学3年生で誕生日が来たら解禁?


一般常識・都道府県の青少年保護育成条例・大手企業方針としては、学生の場合は、学校を卒業する3月31日まで18(15)歳未満同様に規制としている事が多いです。18歳で高校に行かずに有職・無職の場合は、可能とも言えます。実際問題として、「15歳になったから中学生だけどR-15読みます!」って発言した場合、作者や発見者・運営によって見解は分かれます。R-15だと周囲の見解も緩いですが、R-18だと禁止派に見つかって叩かれると厄介です。

個人的には、ネットトラブルを避けるためにR-18・R-15も学校卒業後の閲覧をお勧めします。

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青少年への悪影響って本当にあるの?


犯罪者の持ち物で残酷漫画が発見されると「漫画の影響だ」と騒がれますが、ほとんどの子供が「空想と現実の区別はついている」と反論し、実際の影響については未知数です。ただ、この「空想と現実の区別はついている」は、「現実とのギャップが大きい作品(あからさまなファンタジー)」や「非常に大袈裟な表現」に対してのもので、細かい影響は出ていると「個人的には」感じます。


例えば、「推理小説を読んで殺人をしようと思う」とかは少ないです。しかし「樹海小説を読んで、自殺に樹海に行く」人は、意外と多いです。「通学路でぶつかった転校生と突然恋に落ちる」「壁ドン」とかは、ありえないと思っても「恋人からの突然のキスって素敵と思って真似をする」とかは多いです。告白前の突然のキスとか、現実においては性犯罪レベルです。実際、男性から女性への「性的合意」(例えばキスする際に、毎回意思を確認する)は、なされていない場合が多いです。また、アダルト動画による学習により「性行為は激しいほど女性も気持ちいいと考える思い込み」など、「物語として魅力的な内容」は「現実でやったらアウト」な場合も多く、正直、大人でもメディアコンテンツの影響は大きいと感じています。小説を書く者であれば、その作品が人に与える影響を考えるべきだと思います。

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R-18は、どの程度まで?


R-18は、青少年の育成に有害な内容、青少年の閲覧が不適切な内容などと表示されています。

大抵が「過度の性描写」「性的興奮を煽るような内容」を指しますが、広い意味では「R-18G」や「公序良俗に反する内容」も含まれます。

「過度の性描写」は理解できるとして、「性的興奮を煽るような内容」は、個人の価値観や、地域や風習によっても大きく変化します。

最終的には、自身でジャッジするしかないのですが、物差し的には「子供が真似しても問題がない」「未成年の前で朗読して問題ない」程度がセーフと考えます。例えば「ふたりは一夜を共にしました」と書いても、意味がわからない子供は普通にスルーできるのでセーフ。逆に、「綺麗なお姉さんがバナナをハアハア言いながら舐める」とかは、変態的興奮度が高いので、R-18を付けた方が良いです。

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R-18Gは、どの程度まで?


R-18Gは、R-18の中でも「過度の暴力(バイオレンス)」「過度の残酷(グロテスク・ショッキング)」内容に対しての規定です。

最終的には、自身でジャッジするしかないのですが、物差し的には「子供がトラウマや恐怖で夜眠れなくならない」「子供が吐き気や気分が悪くならない」程度がセーフと考えます。

「過度の暴力」は、ちょっとではない程度の流血、肉体の損傷(指を切断や露骨な表現のある骨折)、暴行の詳細描写などです。

「過度の残酷」は、肉体のバラバラ(スプラッタ)や、手術などの内臓や遺体の詳細描写や、殺人犯が精神的に被害者を追い詰めるのを詳細に描く、カニバリズム(食人)とかです。

例えば「崖から落ちて足を骨折しました」程度であれば、グロくないのでセーフ。逆に「足を骨折して、骨が肉を突き破り」みたいなのは、読んでいて怖いのでR-18Gを付けた方が良いです。

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R-18・R-18G 作品表示時の配慮


カクヨムは、R-18などをマイナス検索は可能です。しかし、マイナス検索の随時発動機能がありません。普通の人が「ファンタジーが読みたいな」みたいな感じで「ファンタジー」で検索すれば、R-18作品も検索結果には含まれてしまいます。つまり、R-18を見たくない人が検索結果で、R-18のタイトルやキャッチコピー、内容紹介を見てしまう場合があります。


また、R-18を読む=R-18の全てが地雷ではないって訳ではないです。地雷とは、「苦手な趣向性のある文章=読んでしまうと地雷を食らったような精神的なダメージを受ける内容」で、人によって内容は異なります。つまり、同じR-18好きでも、ノーマルカップリングが好きな人が、うっかりボーイズラブ作品のタイトルやキャッチコピー、内容紹介を見てしまうと精神的に辛いです。


そのため、作品のタイトルやキャッチコピー、内容紹介(特に前半)には、好き嫌いの激しいワード(触手とか監禁とか)を使うべきではないです。うっかり見た人の精神に良くないです。また、そういうエチケット的に際どい状態を垂れ流すと、サイトが荒らされやすくなります。あまりに趣向性が強い内容であれば、作品の1ページ目に詳しい内容紹介を入れるとワンクッションになります。


また、マイナス検索も表記揺れします。「R-18」と「R18」のタグがあるとかです。どちらかをマイナス検索したのに、もう片方が検索結果に出てしまったりします。出来るだけメジャーな方のタグを使用、タグに余裕がある場合は類似タグも入れると親切です。

また、カクヨムのマイナス検索範囲は、「タイトル・キャッチコピー・タグに、その語句を含む」なので、「R-18じゃない」などと記載した場合、「R-18」をマイナス検索した際に、マイナス対象になります。

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SNSや交流ツールでの作品の宣伝や意見交流について


小説にR-18・R-18Gのレイティングや地雷避けの配慮をしっかりしたのに、SNSや交流ツールのオープンスペース(特にツイッター)で、作品の宣伝や意見交流で猥談や特殊趣向を垂れ流す人を結構見かけます。

個人間のメールや限定メンバーのLINEなどで語る・作品内のコメントで語るのは自由ですが、特に性的や特殊なカテゴリブースでもない皆の集まるスペースで延々とヤバイ話をするのは、青少年も閲覧可能、性的な内容の見たくない人にとっては、迷惑・配慮に欠けます。オープンスペースと、鍵アカウント内や、グループのみのスペースとの住み分けは、きちんと行ってください。

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18歳未満がR-18小説を書いて公表したい場合は?


多くのサイトでは、書き手の年齢に対しての規定は確認できません。ただ、R-18小説が書ける=R-18小説を読みまくっているorR-18コンテンツ体験や実体験豊富な可能性が高いです。読み手から運営に報告されて、青少年健全育成条例違反として保護者に連絡されると深刻に恥ずかしい、学校などにバレた場合は進路などに響く可能性があるので控えるべきです。また、年齢が読み手やネット交流相手にバレた際に、揉める、荒らされる、人が離れる可能性が高いので、やめておいたほうが良いです。


以上。

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