第2話 文章の視点(一人称・二人称・三人称)
小説をなんとなく書き始めると、大抵は一人称か三人称になる場合が多いです。
1つの小説内では視点を統一して、話の途中で視点が混在しないように注意が必要です。
・一人称
主人公や相棒目線で、地の文を書きます。
書き手が主人公と同化しやすく、素人や若者にとって書きやすい傾向があります。
作品によっては、章によって目線の人物が変わる作品もあります。
(例)僕は、桃から生まれた桃太郎。町のみんなのために鬼退治に行こうと思う。
利点
・自己投影しやすく、主人公の心情が好きなだけ書ける。
難点
・主人公のいないシーンが、書けない。
・主人公の細かい外見描写や、動作の表現がしづらい。
・主人公が知らない知識や事実は、地の文で書けない。
・周囲のキャラクターの心情は、主人公の主観でしか書けない。
ポイント
主人公が精神的に葛藤して動作の少ない内容や、活躍する対象を観察する立場のキャラクター目線で書くのに適しています。
例えば、恋愛小説で片思いの相手に関する気持ちを長い文章で語る、うじうじ悩むなどの心の声をカミングアウト的な作品。
冒険物であれば活躍する勇者を、魔法使いや忍者などのサポートメンバー視点で語るなどのスポーツ解説者的な視点の作品。
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・二人称
滅多にはないですが、「作中のキャラクター」が読者に対してリアクションしてくる形で、地の文を書きます。
手紙や、家電の取扱説明書に近い感じのスタイルと、夢小説(ドリーム)的な読者も作品内に参加するスタイルがあります。
リアクションしてくるキャラクターが1人なら1人称文体に近く、リアクションしてくるキャラクターが複数なら、3人称文体に近いです。
(例1 聞き型)僕は、桃から生まれた桃太郎。君に、僕の鬼退治の武勇伝を話して聞かせよう。
(例2 参加型)「君も、僕と一緒に鬼退治に行こう!」桃太郎は君に右手を差し出した。君は、桃太郎と犬・猿・雉と、鬼退治へ出かけた。
利点
・作品世界内でキャラクターと接しているような臨場感を出せる。
難点
・すごく書きにくい。(読み手が違和感を感じやすい。)
・読者の意思に関係なく、読者の動作や心情を表現する場合、読者が違和感・不快感を感じやすい。
ポイント
かなり異色な表現スタイルなので、普段は選択肢に入れなくて良いです。夢小説(ドリーム)を書くならあり。
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・三人称
キャラクターの上空や背後などにいる神や鳥のような視点で、地の文を書きます。
全てを客観的に書く事が出来、主人公のいない場所、各キャラクターの心情を書く事が出来ます。
淡々と話が展開しすぎたり、誰の動作やセリフか説明が増えすぎたりして、堅苦しくなりやすい。
視点が主人公を追い続けるスタイル(推理小説の探偵を追う視点などの1人称に近いスタイル)と、視点が主人公を離れて、どこにでも行くスタイルとあり。
そのシーンのメイン人物1人の心情のみを書く(章ごとに心情表現者が切り替わる、探偵心情、犯人心情など)スタイルと、各シーンで様々なキャラクターの心情を満遍なく書く(容疑者全員の心情を順番に書くなど)スタイルがあり。
(例)むかしむかし、あるところにお爺さんとお爺さんが住んでいました。
利点
・全てのキャラクター・背景の説明や心情が書ける。
難点
・「誰々は言った」「誰々が思った」などの繰り返し表現に陥りやすく、工夫が必要。
・スピード感や臨場感が出にくい。
ポイント
複数キャラクターの心情を表現したい、サブキャラクターが活躍する作品、主人公のいないシーンが多い作品に向いている。
キャラクター達の知識や会話抜きで、世界観や独自の技術やシステムなどを読者へ伝えたい場合などに便利。
以上。
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