家族を助ける。
その言葉を聞いて、田中は田舎の両親の事を思った。
「携帯電話に入ってるデーターはネットの情報を自分なりに、まとめた物です。
今、生き残ってる人達は皆知っているでしょう。」
「…ニュースが流れるまで、全然気付かなかったですよ。」
「田中さんはネットを見ないんですね!?
確かに流れ始めた時は、全世界が作り物だとコメントしてましたよ。
あ、北に絹川ダムがあるじゃないですか?
その絹川ダムの近くに、もっと大きなダムを作った後に、絹川ダムを作り直してそのそばに約十メートルの白い塔を建てたんですが。」
「ああ、知ってます灯台みたいな塔がありますね、でも何かは知らないですよ、風間さん。」
「ええ、そうなんですよ田中さん。
ダムの予備電力とか、新しい発電システムとか、色々言われてましたが…
で、その塔ではなく、その塔の下に研究所があるらしいんです。」
「へー、よく調べましたね。」
「噂のいきを出てないんですが、
家族が咬まれてから三日間私は、ありとあらゆる事を調べました。
ネットでですが。」
どれ程の苦しみだったのだろう?
家族が日に日に姿を変えていき、それをただ見る事しか出来なかった。
そんな風間の苦しみを今の田中は理解することは出来ないだろう。
「風間さん。」
田中は風間の心中を察し、必ず家族を助けると決心した。
だが到底不可能な約束をして、先にあるものが苦痛と困難しかないことも同時に悟っていた。
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