その音とは別にバイクの排気音が辺りに鳴り響いた。






グォォン、という改造され爆音が出るようになったマフラーの音。






大型のバイクたちが向かってくる。






全身を全く出さないように、フルヘイスのヘルメット、何重にも着込んだ服。






手には、金属バットや鉄パイプを持ち、ポメラニアンたちを打ちのめして行く。






「助かった。」






田中はそう思った。






だが、そのバイクの群には、特効服を着た暴走族も含まれており、田中も攻撃の対象にされていた。






「ひゃっほー。




皆殺しだー。」






ポメラニアンにより、有りとあらゆる機関が停止していた、


その、無法地帯と化した街で、我が儘に暴れる人間たち。






今、一番協力し合わなければならない時に、人は自らの欲望を剥き出しにし暴れるのだった。






一台のバイクが田中に突撃する。






金属バットが降り下ろされ、紙一重でかわす。






後から続くバイクの攻撃をパターで防ごうと構えたが、


勢いの付いた一撃でパターは飛ばされ、田中は武器を失った。






頭を守ろうと、鞄を持ち上げたが、


その瞬間肩に激痛が走り田中はその場に倒れた。






「ひゃっほー。」




「キャンキャン。」






ぼんやりとした、意識の中…


人とポメラニアンの戦いの音が聞こえていた。






こんな状況で、まさか人によって殺されるなんて、田中はそのまま意識を失った。

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