博が机の上の料理に気付いた。






「これ、奈緒美が作ったのか?」






「ああ、そうだよ奈緒美さんが僕の為に作ってくれた、愛妻料理だよ。」






「おい、ガキ…愛妻って愛する妻って書くんだよ、つまり、お前が愛妻料理だ何て言えないんだよ。」






「うわー。」






誠也君が床に投げ飛ばされた、博と誠也君では力の差がありすぎる様だ。






「…奈緒美…帰ろう…どうしたんだよ…」






私は、座りこんだまま動けないでいた。






博はやさしく私の肩を抱き立たせようとした。






「おい、待てよ、おっさん、奈緒美さんは僕の大切な女性だ、連れていくな。」






嬉しいような、嬉しくないような…こんな私を…二人が取り合ってくれている。






浮気したのに、人妻なのに。






「随分と威勢の良いガキだな…子供が夫婦の問題に首突っ込むなよな…これは、俺と奈緒美の問題なんだよ、お前は無関係だ。」






「そんなことは無い、奈緒美さんは僕を好きなんだ、あんたじゃないんだよ、ねぇー奈緒美さん、僕を選んだんですよね?」






二人の視線が私に集まる、私には何も決められないのに。

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