誠也君の部屋から出て、誠也君のいないスーパーで買い物をする。






「ふふーん。」






つい鼻歌が出てしまう、そして、さっき作った料理と同じ食材を手にとってしまう…






でも、家で同じ肉じゃがを作って、折角の楽しい思い出を暗くするわけにはいかないと、違う食材を籠に入れた。






夕暮れを過ぎたスーパーは、夕飯の買い物をする主婦よりも、仕事帰りのOLやサラリーマンが多かった。






和気あいあいと買い物をする、カップルも今は全然気にならなかった、だって私も今まで…






「あー、何か…戻っちゃおうかなー。」






少し大きな独り言を言ってしまった。








心の中で、「バカね。」と笑いながら買い物をすませ、レジに向かった。






二十歳そこそこの若い女性がレジを打つ、まだ化粧が下手なのか、若作りのおばさんなのか分からないが、とにかく、化粧が下手だった。






「はい、千八百円になります。」






声を聞いて分かった…若いと。






「あら、キリが良い値段になったわね。」






うっかり、化粧が下手と言わないように違う言葉を口にした。






「そうですね、後二百円でもっとキリがよくなりますね。」






「そうね。」






「…あのーお客様は、主婦の方ですよね?」






「ええ、そうよ、それがどうかしたのかしら?」






「あ、すいません、こんなこと聞くつもり無かったのに。」

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