箸が肉じゃがのジャガイモを半分に割る、その断面から湯気が上がる。






「奈緒美さん、ジャガイモホクホクですねー。」






「そうよ、ホクホクよ、熱いから気を付けてね、ふーふーする?」






「えー、ふーふーですか?


じゃあ、ふーふーしてもらおうかな?」






一口も食べてないのに、会話のいちゃいちゃが加速する、私たちは急いで何処に向かっているのだろう?






「分かったわ、食べさせて、あげるー。」






誠也君のビックリした顔が近くにある、そして、私の箸が誠也君の口に肉を運ぶ。






「あつっ。」






「あ、ふーふー忘れたね、大丈夫?」






「うん、思ったより熱くはなかったです、条件反射であつって言ったみたいです。」






「そんな事より、味は?」






「はい、美味しいです。」






「本当にー。」




私は、できる限り近付いた、もう何時でも抱き締められる位の距離まで…


誠也君の頬にあたりそうだった。






そして…






肉じゃが味の、キスをした。

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