会話の内容は何でも良かった、只無邪気に笑って、然り気無く肩や腕に触る…その先を想像しているが私からはここまでが限界、それ以上の抱きついたり、キスしたりなんて出来なかった。






段々と動作を大きくする、離れたり近付いたりしながら、顔がくっつきそうになる、でも触れたりは出来ない。






座ってるクッションがぺたんこになった頃思い出す。






「あ、料理作るの忘れてた…ごめん、つい話し込んでたね!!」






「あー、そう言えばお腹空いちゃってたー。」






「急いで作るね…あ、でも帰らなきゃー、やっぱり、ごめんね後は自分でつくってね。」






「えー、って全然構わないですけどね、奈緒美さんって家でもうっかりしちゃうんですか?」






「え、家…うん、こんな感じかな?」






私は、嘘をついた、今、もし、家では何時も淋しいのって言ったら…誠也君は抱きしめてくれるだろうか?


冗談半分で聞き流し笑うのだろうか?








靴を履き、ドアに手をかける。






「あ、奈緒美さん…また、来てくださいね。」






「うん、今度はもっとゆっくりしていくからね。」




「あー、じゃあ今度は、お泊まりですかね、あははは。」






「うふふ、お泊まりかもね。」






そう、言いながら私は、彼の部屋を出た。






泊まる事なんて出来ないのにと、思いながら。

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