昔、付き合い始めた頃に夫の部屋に入った時の匂いを思い出した…






何かほこりぽくて、部活の部屋ぽい匂いがほんのり、そして、まだあまり嗅いだことの無いその時の夫の匂いが少し、殆んどは家の匂いだったけど、そんな中から微かな違う匂いを感じていた。






でも、今いる誠也君の部屋は、何処か甘い匂いが漂っていた。






「ねぇ、誠也君…少し甘い匂いがしない?」






「そうですか?


何だろうー今朝食べたプリンの匂いかな?」






「え!?朝御飯プリンだったの?


駄目よ、お菓子じゃない。」






そう言いながら、隣に座る誠也君の肩を軽く叩いた。






「たまたま、何ですよ、たまたま冷蔵庫にあって、あーこれ食べなきゃ賞味期限切れちゃうなって。」






「賞味期限気にするんだー。」






そう言いながら、肩から手を離した。






「スーパーの売れ残りで、割り引きされるのを選らんで買ってるんで、あったら早めに食べないと危ないんですよ、あははは。」






「危なくは無いけどね、あまりよろしくないわね、きっと賞味期限過ぎても食べてるんでしょ?」






「あ、バレました?流石奈緒美さん。」






「流石じゃないわよ、気を付けてね、傷んだら食べちゃ駄目よ、お腹壊しちゃうよ。」






「はーい、気を付けまーす、おかあさん。」






「あー、ムカつくー。」






そして、私は、また肩を軽く叩いた。

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