直木くんに口をふさがれて居たから。






嘘…何が起きたの、私は直ぐにその場から離れようとした…


でも、動けなかった。






ほんの少し唇と唇が触れてしまっただけなのに、全身から熱が、汗が滲み出てくる。






私は驚いた顔のまま唇を離す、


もう、直木くんの顔が見れなくて俯いて止まっている、


恥ずかしくて、走って逃げたいのに体は震えて動かない。






「ご、ごめんなさい。」






なんで、謝るの?






悪い事って分かってながら、キスしたって事?






それとも、私の顔がそんなに悲しく見えたの。




「うん、大丈夫。」




私は空の缶コーヒーを持ったまま、


何もなかったかの様に帰った。






帰り道…


私はまだ震えて居た。






本当はあの時、ゆっくり時間が流れていて、


幾らでも拒む事が出来ていたはずなのに…私は。

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