時子さん 第6話


「まずは、この都市伝説に新しいルールを追加する。携帯電話なんて使っている奴なんてあんまりいなくなっているから携帯電話をスマートフォンに置き換える。ようは都市伝説を進化させるんだな」


「どう進化させる?」


 宮佐古 慎太郎みやさこ しんたろうが合いの手を言えるように言った。


「かといって、都市伝説の内容を携帯電話からスマートフォンに置き換えただけじゃ駄目だ。時子さんから電話がかかってくるなんていうのは面白みがないし、誰かから電話がかかってくるなんていうシステムは構築させるのが難しい。システムは集金システムであるべきなので、そのシステムを作る意味合いも込めて、SNSを使う」


「……ほぉ」


 宮佐古が相づちを打つように声を上げた。


「時子さんというアカウントをまずは作る。そこからどう仕上げていくかが問題なんだよ。時子さんという存在をバズらせる必要があるんだけど、それは仕込み動画を作成して、一気にリツイートさせていって拡散させる。複数アカウントと、そこからの繋がりでどこまで広がるかは予想できないが、衝撃的な動画を作成すればある程度はやれるだろう。ほん呪みたいなのが作成できれば御の字なんだ」


「動画? ああ、僕の領分ね」


 コンテンツの制作担当の上木丈かみき じょうがやる気のなさそうな顔をして、そぼりと呟くように言う。


「その通りだ」


 俺はスマートフォンを取り出して、とある画面を表示させる。


 ここ数日、考えに考え抜いた新しい集金システムの土台となる流れだ。


「スマートフォン、いや、SNS全盛期で時子さんを復活させる流れを説明しよう。今、IINEに画像をあげたから見て欲しい」


 俺はSNSのIINEのグループIINEにその画像を流した。


 タイトルというべきか、書き出しはこうだった。



『都市伝説の時子さんを復活させるためには?』


1.都市伝説の時子さんをSNS上に復活させる。


2.まずは復活祭として時子さんの呪いによって人が死んだ動画をあげる。だが、実際には死んでいない『やらせ』の動画である。その動画を時子さんという存在とその呪いを広めるために利用する。


3.時子さん復活に際して新しいルールを設ける。


4.そのルールとは?


5.SNS上に時子さんというアカウントをまずは作成する。


6.そのアカウントにフォローさせると、フォローされた人が呪いがかかるという設定にする。


7.時子さんの呪いを回避する方法はブロック。


8.フォローされてから十二時間以内に時子さんをブロックしなければ、時子さんがその人と共にその人の家あるいは部屋に入って来る。


9.部屋などに時子さんに入ってこられたら一週間後に死ぬ。


10.ブロックできずに回避できなかった場合は、御札などを購入することで回避できる場合がある。


11.この御札購入というプロセスが構築しようとしている集金システムのメインである。


12.以上の流れが上手く行かないようならば、改変していって上手くいくようにする。



以上


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