願いと謀略②
「な、なるほど! そうすれば、我らが焼き払うのは家や家財道具のみとなり、この村の人々は・・・救われる?」
「あぁ、結果的に村は滅びてしまうかもしれんが、人命さえ守る事が出来ればまた復興する事もできる」
「で、ですが村人たちは納得してくれるでしょうか」
「わからん、だが俺達はこの1年間、この村の人間達と共に生きてきた、かけがえのない友人と出会えた者、生涯の伴侶と出会えた者もいる、だからこそ何としても我々はこの村を、法治国家ドリアードを守る必要がある!」
「はっ!」
副官たちは、ドラグニアの前に跪き首を垂れた。
「負担を掛けてしまいすまない、各々各隊への連携を怠るな! 作戦を開始する!」
副官たちは一斉に立ち上がると勢いよく部屋から出て行った。
「・・・俺はまず、ベネットだ」
ドラグニアは、部屋を出て厩舎に繋がれた馬に跨ると、勢いよく村長の元へと駆け出した。
ドンドンドン! ドンドンドン!
「ベネット! 俺だ! ドラグニアだ! 居るか? 居るなら出てきてくれ!」
「んー? 何だ何だこんな夜中にー、酒の誘いか? まったく公国人は礼儀ってもんを」
「ベネット! 良いから中に入れてくれ! 大切な話があるんだ」
「んー? 大切な話? いったいなんだって」
ベネットが家のドアを開けると、そこには肩で息をし汗まみれになったドラグニアの姿があった。
「・・・分かった、中へ入ってくれ」
ドラグニアのあまりの形相に、ただ事ではないと察したベネットは、すぐさま居間へと引き入れた。
「それで? 大切な話ってのは?」
「・・・あぁ、すまんベネット先ずは怒らないで聞いてくれ・・・俺達は今から二日後に、この村・・・いやドリアードへ軍を侵攻させなければならない」
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