見つからない人①
エルサドル公国領にある小さな村ネムは小高い山の麓に佇んでいて、ハ〇ジとかク〇ラとかク〇ピカとかが野原ではしゃいでいる様子が・・・あ、それは絶対時間!(エンペラータイム)の方か。
・・・とにかく風光明媚で美しい里だった。
「わー! なんて素敵な場所なんでしょう」
「あー、ヤバいわこれは」
二人はその景色の美しさにあっけにとられていた。
「それで? 目的のおうちはどの辺りなんです?」
「・・・ん?」
「えっと、叔父様の家はどちらなんですか?」
「よっし、じゃあ聞き込みを開始する! 俺は村の西側を、エルサは東側をたのむ」
「たのむ、じゃないですよー! 折角こんな綺麗な場所にいるのに地味な聞き込みですか? さっさと業務は終えて休暇を楽しむんじゃないんですか? 出張手当を多くもらう為に【視察】という名の豪遊をして朝から晩まで飲み明かすんじゃないんですか?」
「いや、俺は何処の国の政治家だよ! あと俺未成年」
「はぁ、全く蒼星がそんなクソ真面目なお役人だとは・・・ケチくさい」
「いや、あんたの中の執行人てそういう役人なの!?」
「・・・はぁ」
エルサは明らかに落胆した様子でトボトボと歩きながら手をヒラヒラさせて見せた、ていうか執行人達はみんなそんな事してるの?
いやいや俺の知ってる執行人達はみんな真面目で、リゲルとかほら規律が服着て歩いてる様な奴だし、アイビスさんだって・・・アイビスさんかー。
蒼星の脳裏に軽薄でナンパなアイビスの笑みが浮かんで、これは勘違いされてもしょうがないなと変に納得できてしまった。
「ま、まぁ場所さえわかれば後は話を聞いて家族にディケーまで来てもらう交渉をするつもりだし、上手くいったとしても準備に掛かる時間とか、ほら結構掛かると思うんだよね? だからその間ならちょっとは遊んでも」
「本当ですか!? やったー! 蒼星はやっぱりやればできる子ですね! よし、さっそく聞き込み行ってきまーす♪」
先ほどまでの落ち込み様がウソのように、エルサは颯爽と村の東側へと消えていった。
エルサさん・・・俺は人間不信に陥りそうです、サスエルでのあのしおらしい姿は何だったのか、あーこれが俗にいう『女心と秋の空』ってヤツなのかな。
蒼星はまた一つ大人の階段を上った様な、そんな気がしていた。
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