妖精のホンネ

ある日から、この部屋に続く階段をよく気にする様になったよ、なんでかな?何でだろう。


 もし、私達が別の場所で出会ってたら、こんな風に笑い合うなんて事、無かったのかな?


 太陽が東から登って西に落ちていく度、少しずつ近づいて来る『終わり』。


 その階段を誰かが登って来る音が怖かった。


 怖くて、怖くて、次は私の番なのかな、誰か助けてって、そうで無かった事に安堵しては、またすぐに訪れる死の足音に、ただただ怯えてばっかりだった。


 でも最近、少しだけ、ホンの少しだけ、その足音が、嬉しいなって、思ってる。


 長い螺旋階段を急いで登って、ゼェゼェ肩で息をしながら、子犬みたいに笑って、『元気?』って言う君に会えるから。


 でも、そんな事言ったら、きっと君はなんとかしようとしちゃう、自分の事なんか省みないで、私の為に、色んな物を犠牲にする。


 だからね?この気持ちはそっとしまって、明日もまた『どうしたの?』って余裕の笑みで、君をからかうの。


 その時が来るまでもう少しだけ、

 私の我がままに付き合ってね、私の素敵な王子様。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る