第二話・研ぐ

俺はハードボイルド自炊マスター。


働かざる者食うべからず、いな、食わざるもの働くべからずだ。

先人は言った「腹が減ってはいくさはできぬ」と。


俺は米を研ぐときにステンレス製ボールと、同じくステンレス製のザルを使う。

米を研ぐ時には、研ぎ汁を素早く切るのが肝心だ。

ザルを使わずに研ぐと、研いでいる間は米が研ぎ汁にかったままになってしまう。

しかしザルを使うと、ステンレスのメッシュが米の表面を傷つけてしまうのが難点だ。

俺はこのジレンマを解決する方法として、5人の友人と俺の姉に協力を求め、俺が炊いた飯を、どちらがザルを使ったほうかと知らせずに姉によそわせ友人に判定してもらうというダブル・ブラインドテストの結果に従うことにした。

結果は3対2でザルを使ったほうに軍配が上がった。

それ以来、俺はザルを使っているが、決してこれが絶対だとは思っていない。

いつか同じメンバーで、同じテストをやってみるつもりだ。


米を研ぐ時に力を入れてはいけない。

水をためたボールに、米を入れたザルを一気につけて、3回かき回し、素早く水を切る。

そしてそっと撫でるように8ビートで4回、つまり32回かき回して、再び最初の工程へと戻る。

俺はこれを2回繰り返す。

何回繰り返すかは、好みの問題と言っていい。

とにかく俺は2回だ。

そして最初の工程に戻り、水気をよく切ったら工程終了だ。


研ぎ終えたら次のプロセスだ。


to be continued

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