生と死に対する深い考察が、ふんわりやさしい文体で書かれているすごみ。

最初は、主人公の少女のかわいらしい様子ややさしいふるまいから、単純なファンタジーかと思っていたら、内容がどんどん深くなっていく。

人間の残酷さと愚かさ、動物たちによって表現される生きる過酷さ、悲しみ、真剣さ、力強さなど、かなり重い内容を描いているのに、文章はあくまでやさしく温かく、かわいらしい。

それが、「読みやすさ」と「内容の深さ」の両方に作用している。こういう内容をこういう表現で伝えられるところに、作者のセンスと才能を感じる。