第7話――こんな終わり方?
まもなく新年を迎えようとしている夜のこと……
カズヤは、フランスのモナコに来ていた。
その豪華ホテルのスイートルームで、ルームサービスによる食事をとっていた。
「例によって、不思議なデジカメを使って、無料の船旅で来たけど……けっこう苦労したな……。
豪華客船の『サンフラワー』に乗ってみたかったから、不思議なデジカメのズーム機能を多用して、ここまで来た、超特殊バカンスさ。
もう少ししたら、今度は関西の大手銀行を狙って、大金庫からタンマリ現金をいただくんだ……。
もうバイトなんかしなくてもいいのさー」
ふと窓に目をやり、ゆっくり立ち上がると、そこへ立って、
「ここからの夜景は、本当に美しいな……。世界一じゃないかな……」
何かを思い出して、テーブルの不思議なデジカメを見ながら、
「あのガセネタのトンネルで、不思議なデジカメを渡してきた少女も、何か撮ってたハズだ……」
テーブルに戻ると、不思議なデジカメの裏面にあるメニューを操作して、
「僕が最初に撮ったのは、あのガセネタのトンネルだったから、それより前だ……」
そのテータを見ると、三種類の真っ黒な画像があった。
「真っ黒……失敗作? あー、それで確か、変になった……とか言ってたっけ……」
最初の画像を出すと『MOVE』とあったので、カズヤは再生してみた。
が、ゆっくり動いてるのが分かるだけで終っていた。
次の動画も同様だったので、
「なんだ……これもか……。結局、三つとも失敗作か……?」
最後の動画を再生すると、じょじょにオレンジ色が現れだし、やがて現れたのは、燃え盛る巨大な太陽だった。
「わーお! なんと美しい……。あの子、どうやって撮ったのかな……」
その動画の周りを囲むように、窓のようなワクが現れた。
空気が変わったので、カズヤが顔を上げると、彼は小さな宇宙船に乗っていて、窓からは巨大な太陽が見ているのだった。
「えー!! なんだこれは……?」
すると計器類の中のスピーカーから、
『危険です! すみやかにコースを変えないと、太陽に突入します!』
慌てたカズヤが周りを見ると、トンネルで会った少女が現れて、
「おじさん、バカよ……」
カズヤの手から不思議なデジカメが離れて、少女の手に渡ると、彼女はスッと消えた。
手の打ちようがなく悲鳴を上げるカズヤが乗った宇宙船は、太陽に向かって突入していった。
関西の田舎の古いトンネルに、独りの若い女性がやってきた。
「えっ、これが無限トンネル? ウソっぽいな……」
すると少女が現れて、
「お姉さん、このデジカメ変なの。見てくれる?」
「ん、いいわよ」
受け取って見てから、視線を戻すと、その少女の姿は無かった。
――終――
うつせるデジカメ とむなお @hiro0360
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