第3話――えっ、どういうコト…?
その後カズヤは、また獣道を通って下の道まで戻ると、さっきのタクシーに連絡して迎えに来てもらった。
カズヤを乗車させた運転手は笑顔で、
「お客さんがそうやって無事ということは、やっぱり完全にガセだったんですね」
「えっ、運転手さん、無限トンネルの話、知ってるんですか?」
「ほら、さっきお話した、昨日のお客から聞いたんですよ」
「あー、なるほど……」
「それで、私が持ってるパソコンで調べてみたんですよ」
「運転手さんも好きですね……」
とカズヤが笑うと、運転手も、
「なかなかユニークな話ですからねー」
と笑った。
駅前に着いたカズヤは、昼食を取ろうと近くの食堂に入り、玉子丼を注文した。
そして食べ終わった彼は、奇妙な少女に渡されたデジカメを取り出すと、さっき撮ったトンネルの画像を出した。
「どこかにあの子、映ってないかな……」
その画像を見詰めた。
すると、なぜか前方から風が吹いてきた。
えっ、と顔を上げた瞬間、彼は愕然とした。
目の前にそのトンネルがあり、彼自身トンネルの前で座っていたのだ。
「えっ? えっ? どうなってんの? どういうこと?」
カズヤは、そのまま後ろへ倒れてしまった。
「えー……? どうして……? この、デジカメのセイか……?」
彼は体の震えを感じながら、仕方なく獣道を下ると、またタクシーを呼んだ。
やがてタクシーが向かってくる時、カズヤは何と説明しようか……と困っていた。
が、さっきの運転手ではなかったので、普通に駅前まで乗車することが出来た。
しかし、タクシーから降りたカズヤを待っていた者がいた。
さっき入った食堂の主人で、その手にはカズヤのバッグがあり、
「お客さん、こんなの忘れちゃダメでしょう!」
「申し訳ないです。忘れ物したのを急に思い出したもので……」
何度も会釈して謝りながらバッグを受け取ったカズヤは、駅に入ってから立ち止まり、
「多分、このデジカメって……特別なんだ……」
彼は、改札を通るとトイレに向かった。
迷わず個室に入ると、その情景をそのデジカメで撮った。
すぐにデジカメのモニターに、さっきのトンネルの画像を出し、見詰めた。
すると間もなく、前方から風が吹いてきた。
顔を上げると、あのトンネルの前にいたのだ。
「やっぱりそうだ。このデジカメは、持ってる者が見てる画像の場所に移せるんだ。つまり移せるデジカメだ。これはスゴーイ!」
カズヤは急いで、さっき撮った駅のトイレの画像をモニターに出し、駅に戻った。
「やっぱり。こいつは、本当にスゴーイ、デジカメだ」
すぐに東京行きの電車に乗って帰って行った。
東京駅に着いたカズヤは、そこから見える公園のトイレを、不思議なデジカメのズーム機能を使って撮った。
「何かの時に、役に立つだろう……」
そして、ある所へ向かった。
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