白薔薇様はわらわない

雪月華@33331111

第1話 美しいものには刺があるのです。

白薔薇。高貴で、謹み深い皇室の女性に送られる特別な華。

そう、国王よりそれを送られた人は国王が妻となり、皇太子よりそれを送られた人は皇太子が妻となる。白薔薇はロイヤルファミリーのプロポーズの代替品。

それを送られれば婚儀から逃げることは許されない、魔性の華。


「ローゼ!ここにいたのね!」


私はロゼリア・ルナ・クレルティア。このクレルティア帝国第一皇女にして、ファーストレディ。お母様のサナリア皇后陛下は昨年崩御された。父上とは会いたくない。父上ははっきり言えばブスなのだ。


そして私は、白薔薇姫を異名にもつ姫。


ただ薔薇の棘は弱点があるから。お母様の宿敵、ルンネア后妃。彼女はお母様を暗殺した本人だ。──自分が、皇后になるために。そしてゆくゆくは自らの子に、皇位を継がせるために。その為に今最も邪魔なのは私。ロゼリア・ルナ・クレルティア第一皇位継承者。


さて、台詞に戻ろう。私をローゼと呼び捨てにするなんて、吐き気がする。


「こんにちは、ルンネア后妃。・・・わたくし、貴女に愛称で呼ぶことなど許していませんが。勘違いなさらないでくださる?・・・わたくしを愛称で呼んで良いのはわたくしが心を許した相手・・・サナリア皇后お母様だけなのですから。」


きっぱり、あんたと私じゃ格が違うから愛称で呼ぶな、と言っておく。


「ッ!!!!!失礼ですが、ロゼリア・ルナ・クレルティアさま。サナリア皇后陛下は昨年崩御されましたのよ。ですから、皇后代行の后妃が貴女をローゼと呼んでも問題は・・・」


年増ばばあ。ふざけないで。

 

「・・・言い方を変えますね、ルンネア后妃。気色が悪くて吐き気がする。わらわを皇位継承権第一位としっての事か?年増が。」


私は白薔薇。刺のある薔薇。触れたものを引き裂く棘を。

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