第12話 ペガサスナイト出撃

「え?」

それはペガサスナイトのユリアにとって晴天の霹靂だった。

そしてまた、アトレイユにとっても晴天の霹靂だった。


砦にはユリアの姉妹が幽閉されているらしい。

となればユリアも出撃するのが筋というもの。

それは良い。


問題はペガサスナイトなるものが翼で馬が人を乗せて飛ぶという無謀な設定だという点だ。

そこには厳しい重量制限というものがある。

ペガサスナイト乗りに小柄な女性が多い所以である。


「し、しばらく出番がなかったんで、ちょっとリバウンドしちゃったっていうか」

樽のような体型の女性がおずおずという。

「ちょっと……?」

マリアが口を挟む。

「体重制限明けで御飯が美味しすぎて」

「今、体重どんだけある?」

本来妙齢の女性に聞くべき話ではないが、これも戦いのためである。

「87キロ……」

ユリアは顔を赤らめる。

「ペガサス飛べそう?」

「武器防具込み60キロが限界」

「全裸でも30キロ近く減量する必要があるだと?」



そしてサウナで汗を流すユリア。

過酷な食事制限と運動。

ユリアのせいで一月の足止め。

恐らくこのとき最も辛い思いをしているのは彼女の姉妹。



リミットいっぱい。

全裸のペガサスナイトは飛び上がって喜んだ。

武器防具なしなので、戦闘力は皆無だが、出撃できる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る