第10話 妖剣ムラマサ
「この砦には兄がいます。兄は有能な剣士ですし、私が説得すればきっと仲間になると思います」
「はいよ。仲間は一人でも多い方が良いしな」
安請け合いするアトレイユ。
「お出でなすった」
アトレイユは昭和の香りの残る台詞回しと共に抜刀する。
「合点でぃ。あらよっと」
剣士カイン も調子を合わせて前線に向かう。
アトレイユの構える剣が妖しく輝く。手に入れたばかりの伝説の剣ムラマサ。血を求め持ち主を狂わすと言われるヤバい伝説のある剣だが、その兆候は特にない。
が、良く斬れる
しまった。
アトレイユは作戦も考えず突撃をかけたことを少しだけ悔いた。
敵のアーチャーが黒魔術師を狙っている。
黒魔術師トーマス。
魔法の使用回数に制限はあるわ、反撃はできないわ、アーチャーには弱いと弱点の山だが、魔法一発で戦況を一変させられる頼もしい仲間だ。
「ぬおー」
何だか良くわからない雄叫びと共に突撃をかけ、横薙ぎにアーチャーを斬り倒すアトレイユ。
アーチャーは接近戦は苦手らしい。
「突出し過ぎだアトレイユ」
カインが怒鳴る。
一人の剣士がアトレイユに斬りかかる。
そのときムラマサが妖しい光に包まれる。
鞘走りと共に怪しい光が炎に変わる。
「秘技、火焔昇龍剣」
必殺技の名を律儀に喚きながらアトレイユの振るう剣が敵の喉笛に食らい付く。
そして剣士を咥えたまま天に立ち上る火焔で型取られた竜。
恐るべき必殺技。
「お兄様~」
マリアの叫び。
「あ、悪い、またヤっちまった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます