第8話 男装の麗人ボルボ


山道を行く勇者アトレイユ一向。

が、ひとつ小さな問題が起こった。黒魔術師トーマスがアトレイユに何か囁く。

「トーマスが小便したいっつうから休憩な。野郎はこっち、女共はあっち」


勇者アトレイユにデリカシー的なモノはない。なのでシスターのマリアやナイトのエミーリアが安堵の表情を浮かべていることに気がつかない。


そんなことより

格闘家ボルボの話である。ボルボは男ということになっている。が、実は生物学的には女である。


「ボルボは小便しねーの?」

剣士カインは不思議そうに尋ねる。

「ああ」

身体をゆらゆらさせながら答えるボルボ。

「我慢は身体に悪いぞ」

「いいんだ。我慢は俺の趣味だ」

「ひとつ聞いていいか?漏らすのも趣味か?」

「そうだ!」


「トーマスさんがファイヤーボールでお風呂沸かしてくれるって」

シスターマリアが心配そうにボルボへ声をかける。

「嫌だ。このままが気持ちいいんだ!」

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