第2話
次の日。まだ学校は3時間ホールルームで『授業』みたいなのは無い。私は遅刻したら嫌なので、少し余裕を持って家を出た。
「なんだかなぁ、、、」
私は昨日のこともあって少し不安だった。
からかわれたのかもしれない、、、そう思うと何となく学校に行きたくなかった。でも、そんなことを言っている場合でも無い。あーあ、憂鬱だな、、、すると。
ガタンッ
「うわぁぁっ」
いきなり電車が揺れ、真里はバランスを崩して転んでしまった。隣の人に慌てて謝る。
「ごめんなさいっ」
「、、、」
その人に睨まれた。まあ今回は100%私が悪いし。真里は、不器用というかおっちょこちょいなのでこんなことには慣れている。
「本当にすみません」
真里はもう一度謝ってから前を向いて吊革に捕まり直した。
「あ、すみません、、、あ、ごめんなさい」
なんだか、私みたいな人がいる。真里は後ろから聞こえてくる声の主に親近感を覚えた。その時、、、
「お前南華の生徒だよな?」
いきなりさっきの声がナンパ?らしき
ことをし始めたのだ。真里は軽く顔をしかめながら振り返った。誰がナンパされているのだろうと思いながら。しかも同じ高校の人。
「昨日の入学式で見た」
真里は声が出なかった。その人は、、、真里の方を見ていたからだ。
「え、、、」
真里はドギマギしてしまった。凄いイケメンだったからだ。その人は、真里の答えを待つようにじっと見つめてきた。真里はぼっと顔が赤くなるのを感じた。
「そうですけど、、、あなたはどなたですか?」
よそよそしい言い方になったのはしょうがないだろう。
「ごめんな、なんか怖がらせたみたいで、、、俺、山神諒太。今日南華に中学してお前を見かけたんだけど」
その人ーいや、山神くんはすごく申し訳なさそうな顔をして言った。良い人っぽい。
「いやいや、全然大丈夫だよ!!えっと、私は清水真里です。山神くんよろしくね」
少しさっきの冷たい言い方に罪悪感を覚えた真里は慌てて言った。
「あぁ。よろしくな。それとお前なんかさっき転んでたじゃん?だから不安になって」
山神くんは凄くぶっきらぼうだけど優しい人だ。言い訳をするように告げた山神くんに私は嬉しくなった。え、でも見られてたの?!
「見てたんだ、、、でもありがとう!結構転ぶことあるから大丈夫だよ」
さっきから私は大丈夫ばかり言ってる気がする、、、真里は少し不安になりながら反応を見た。
「そっか、じゃあ今日だけでも支えてやるよ。見てると不安だからな」
そう言って、山神くんは私と手を繋いでくれた。えっと、、、え、いいの?男の子ってこんなんだったっけ?それに簡単に手を繋いでしまったけど、、、手が熱い。顔も熱い。全身熱い。私は恥ずかしくなって俯いた。
「あ、ありがとう、、、でもなんか申し訳ないよ」
そっと言った真里に、山神くんは軽く言った。
「大丈夫、俺は平気だから」
んー、いいのかな?みんなにこんなことしてるの?真里は疑問でいっぱいだったがとりあえず黙っておくことにした。
「じゃあ、、、」
そうは言っても、凄く恥ずかしい、、、私は全身真っ赤だと思う。ドキドキしっぱなしで緊張した真里はどうする事も出来ずすごく時間が長く感じた。
「今度からも気をつけろよ」
そう言って、高校の最寄り駅で山神くんは行ってしまった。カッコイイ人だったな、、、真里の頭の中では山神くんの声が何度もリプレイされていて、その度に真っ赤になっていた。真里はこの時、クールでぶっきらぼうだけどすっごく優しい山神くんを好きになってしまったのだ。
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