プロローグ(2)
その青年の名は、
一年前、2062/5/31。
彼とその両親の乗る車は交通事故を起こした。両親は命を落とし、彼は一命を取り留めたものの、その後遺症で病院での寝たきり生活を余儀なくされた。彼にとって更なる不幸は自由と共に、事故以前の記憶を失ったことだった。唯一の肉親である両親と記憶を同時に失った彼は、絶望のどん底にいた。そんな彼を救ったのは、VR-バーチャルリアリティ-技術だった。
事故から半年後、彼は国が主導する、
『障害者支援VR開発プロジェクト』
に被験者として選ばれて以来、週に一度、3時間だけVR空間で自由に過ごすことができた。病院で寝たきり生活を送っている彼にとって、VRの中で過ごす自由な時間が一番の楽しみであり、それが生きがいでもあった。
彼の物語は、事故から約一年後、2063年の5月から始まる――――
-I.,Keisuke著『プロジェクト・ノア後記、第二章』より抜粋-
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