漫研部!

将来、絵を描く仕事がしたくてデザイン科のある高校に進学した俺は、美術部と漫画研究部、どちらに入部しようか悩んだが、結局漫画研究部に入った。ちなみに桃香も家庭科部に入ったようだ。




市立ひがし高校。国際教養科・商業科・情報処理科・デザイン科を有し、生徒の大多数が女子を占める。生徒全体に占める男子の数は1〜2割くらいではないだろうか。


俺が在籍するデザイン科・1年8組もその例外ではなく、クラス全体における男子の数は40人中3人だけだった。ちなみにデザイン科は1クラスしかないため、自動的に3年間同じクラスである。




「南沢に北野。おはよう」


「ああ、おはよう」


「うっす、鍵山」




南沢康太みなみざわこうた北野翔吾きたのしょうご。8組の男子は俺を入れてこの3人だけ。俺は教室に着くと、すでに登校している2人にこう挨拶をした。そして担任の美術教師・藤城友香ふじしろゆか先生が教室に着くとチャイムが鳴り、朝のホームルームが始まる。1限目は・・・体育だ。しかしうちの高校、女子が平気で教室で着替えるから目のやり場に困るんだよなぁ。




◇ ◇ ◇




東高校の漫画研究部の部員数は、新しく入部した俺たち1年生含めて8人。そのうち、男子は俺1人である。




「あ、樹じゃん」


「楠本、今日は来たか」




部室に着くと、俺と同じく漫画研究部に入部した商業科1年3組の楠本くすもとみりあが俺と時を同じくしてやって来た。楠本は160cmを超す高い身長で茶髪に染めてて、いつも化粧をしてて香水もつけてて、しかも雑誌の読者モデルをやっている、いわゆる・・・ギャルである。しかし、その実態は超がつくオタクで腐女子で、しかも現役コスプレイヤーというおまけ付き。




「鍵山くんに楠本さん、こんにちは」




俺は楠本と一緒に部室に入ると、漫画研究部部長である、国際教養科3年1組の中井千鶴なかいちずる先輩が待ち構えていた。千鶴先輩は160cmくらいの身長に長い黒髪が似合う美人な先輩である。成績も優秀で、入学以来ずっと学年1位をキープ。高校卒業後はアメリカの大学に行くのではないかという噂さえある。しかし、その実態は超がつくオタクで腐女子で、しかもBL漫画も描いているんだから、世の中はちょっとおかしいかもしれない。




「みんなごめん!職員会議で遅くなった!」




東高校の漫画研究部の部員数は、3年生1人、2年生5人、1年生2人の計8人。それを束ねるのが顧問である国語教師・田上玲奈たのうえれな先生である。その田上先生が今日、全員参加している部員より少し遅れて部室にやってきた。




千鶴先輩は1人で黙々とイラストを描く作業をしており、2年生の5人は机を1つにまとめて、夏休みに行われる即売会に5人合同で出す同人誌を執筆中。俺もイラストを描こうとしていたが、楠本が色々話をかけて作業に集中できない。




「いつーきー、あたしと一緒に色々話そ」


「黙れ」


「嫌だ」


「じゃああんたの大好きなライラちゃんのコスプレ画像あげるから」


「それは欲しい」


「じゃあ交渉成立だね」




結局俺はイラストを描きながら楠本と色々話すことになった。ちなみにライラというのは、俺が好きなアイドルアニメの主人公である・・・で、楠本と話していたら作業がだいぶ遅れてしまったのであった。時間を返せ。




◇ ◇ ◇




○○市立ひがし高校漫画研究部


顧問 田上玲奈たのうえれな


部員

・3年生

中井千鶴なかいちずる


・2年生

大西小牧おおにしこまき関根優里せきねゆり村上愛海むらかみあいみ伏見凛ふしみりん瀬川奈津美せがわなつみ


・1年生

鍵山樹かぎやまいつき楠本くすもとみりあ

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