第14話被告ウタマロ 解説
「こ、ここは実験スタジオです。今回の解説をさせていただくことになったウタマロと申します。よろしくお願いしはります。その……テイルさん。髪の毛がアフロになってはりますけどどうしはったんですか。スタジオもなんだか焦げくさあおますし。それにガリレオさんはどうしはったんですか」
「まあ、いろいろあってね。ガリレオ君はいましがた救急車で病院に運ばれていったよ。たいしたことはないらしいから、ウタマロさんが心配することはない」
「なら、いいんやけども……そもそも、なんで今回うちがキャスティングされはったんですか。関西弁のキャラクターと言いはっても、うちは京都弁やから、かえって演技しにくいものがあったんやけれども……」
「あれ、ウタマロさん。日本以外で『ウタマーロ』と言ったらどう解釈されるか知らなくてこの役を受けたんですか」
「受けるも何も、うちみたいなど新人には役があるだけありがたいもんですし……で、テイル先生。『ウタマーロ』と言ったらどう解釈されるんですか」
「『おっきなチ○コ』って解釈されるんだよ。だから、ウタマロさんが外国で自己紹介するときは気をつけたほうがいいね」
「『気をつけたほうがいい』って、どう気をつけたらいいっちゅうんですか。『うちの名前はウタマロです』と言う以外に、どう自己紹介しろって言いはるんですか」
「『ウタマロ』じゃなくて『ウタマーロ』ね。日本人には区別がつきにくいかもしれないけど大切なことだから」
「そ、それで、なんで『ウタマーロ』が『おっきなチ○コ』って受け取られるようになったんですか」
「それは、喜多川歌麿っていう有名な浮世絵師がいたからだよ。日本の浮世絵ってのは、ディフォルメが激しくてね。で、浮世絵の一大ジャンルとして春画……つまりいやらしい絵なんだけど。その春画で男性のチ○コが誇張して巨大に描かれていたんだね。そしてその当時のヨーロッパでは写実的な絵しか描かれていなかったから、『ニッポン人のチ○コはこんなにもビッグなのかい、オウ、フジヤーマ』なんてことになって、『ウタマーロ』が『おっきなチ○コ』になったんだね」
「海外にいく前にその事実を知ってよかったわあ、テイル先生」
「で、本編中にもちらっと出てきたけど、巨根信仰と言えばマツタケだね。というわけで、お食事といこう。はい、マツタケ入りの炊き込みごはんだよ、いっしょに食べようじゃないか、ウタマロさん」
「は、はあ」
モグモグ
「どうだい、おいしいかい、ウタマロさん」
「まあ、おいしいですけど……でもテイル先生。この炊き込みごはん、マツタケ以外に存在をこれでもかと主張している具材がありはるんですけれど……なんですか、これ」
「アワビだよ」
「アワビですか。たしかお寿司の高級ネタにある貝ではりますよね。でもなんでアワビなんですか。正直、マツタケとの味の相性はあまり良くないような……」
「それはね、この料理が『夫婦丼』と言うからだよ」
「『夫婦丼?』マツタケが夫なのはいいとして、アワビは……!!!」
「その表情から察すると意味がわかったようだね、ウタマロさん」
「せ、せやけど、マツタケとアワビで夫婦丼と言いはるのは、あまりにもストレートすぎるっちゅうか……」
「巨根信仰と言うのは、子孫繁栄を願った信仰だからね。当然、女性のあの部分とセットになって信仰されるわけだ。実際、今回のチ○コ様みたいに巨根をかたどったシンボルにアワビがお供えされると言う儀式は日本のいろんな場所で見られるんだよ」
「そ、それが本編で使われへんかったのは……」
「女性のあの部分はいろいろデリケートだからね。『おっきなチ○コ』で笑いは取れても、女性のあそことなると笑いどころかお蔵入りになりかねないからね。どちらも子宝を願う人間にとってはありがたいシンボルなのにねえ」
「ちなみに、前回の解説でテイル先生はガリレオさんに月の日周期を聞かれてドギマギしていらはりましたけれど、今回ガリレオさんが病院に搬送されておりまへんでしたら、この夫婦丼をガリレオさんに食べさせはりましたってことですか。そんなの、テイル先生にできはりますんですか」
「ガリレオ君とコンビでこの解説をやることになったら、ガリレオ君に言葉責めされるテイル先生という構図になっただろうね。ガリレオ君は本番以外では俺にキツイからなあイントロではテイル先生とその助手のガリレオ君と言う役柄を演じてくれるけれど、この本編後の解説になるとそうしてくれないからなあ」
「そ、そうやったんですか」
「かたや、ウタマロさんは役柄ではあんなに下品なのに、その中身はお上品な京女だからね。こちらとしても、セクハラのしがいがあるんだよ。で、ウタマロさんのアワビは新鮮なとれたてアワビかな。それとも、シワシワの干しアワビかな。見たところ、ウタマロさんは若い少女だけれど、ロリ裁判長みたいにこの世界では見た目と年齢が比例しないからなあ」
「!!!」
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