第197話 消失と再生

 ガーネットの合図により、みんなが一斉にガーネットに武器を放つ。


 真菜は一気に五本の矢を放ち。

 せーちゃんは魔法の効かない武器を投げ。

 緋依は天から光を放ち。

 夏音は黒い影をいくつも出し。

 美波は手裏剣を四つ放ち。

 明葉は竜巻を起こし。

 カスミは翼を打ってガーネットに突進する。

 そして、結衣と魔央はそれぞれ白い槍と黒い槍を携えて走り出す。


 その様子を見たガーネットは、何度も見た既視感に嫌気がさしていた。


「……数で押す作戦ですか。はぁ……」


 そう呟くと、無気力そうに手をかざして――言う。


「――消失ロスト!」


 その詠唱は、迫り来る武器を文字通り消した。

 消失――それは魔法を打ち消す魔法。

 物を消すことは出来ないが、魔法を使うもの同士の戦闘ではこの魔法は脅威となる。


「……そんな魔法もあるのか……」

「びっくりだな。けど、感心してる暇はねぇ」

「そうデス。ミーたちだけでもなんとかしなきゃデスヨ」


 ガーネットの、埃でも払うかのような仕草に、結衣たちは歯噛みする。

 まるで、自分たちの攻撃を全て見透かされているかのようだ。


「……そうだ! あれがあった!」


 結衣は何かを思いつき、成功すればこの状況を一変させられるかもしれない詠唱を紡ぐ。


「――再生リバイバル!」


 そう紡ぐと、結衣の思った通りの光景が広がる。

 先ほどガーネットが消したたくさんの武器が、結衣の詠唱によって再び蘇ったのだ。

 それを見て、ガーネットが愕然とする。


「……あの時とは、違う……」


 そして、たくさんの武器が――ガーネットを襲った。

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