第196話 頼もしい仲間

「……結衣、魔央……安心……してっ……!」

「こういうのって仲間が集まってこそでしょ?」

「結衣ちゃん、魔央ちゃん。私の本当の力を見せてやりますよ!」

「もう大丈夫ですにゃ! 夏音がいれば百人力ですにゃ!」

「みんなで何かをするってのも、悪くないね」

「うふふ。結衣さんと魔央さんのピンチなら、手助けせなかんなぁ」

「ミーもいますカラネー! ミンナがいれば何も怖くないデース!」


 みんながそれぞれ、自分の想いを口にする。

 多分みんなも、こういうことがやってみたかったのだろうと思う。

 ――ヒーローみたいな登場を。


「……ありがとう、みんな」


 それだけでも結衣は、感極まって泣きそうになった。

 魔央もいい表情でみんなを見ている。

 ただその中で、ガーネットだけが険しい表情を浮かべていた。


「……やはり来ましたか。あなた方を見ていると、あの方を思い出して――」


 険しい表情がさらに険しくなる。

 だが、すぐに表情を消し、ガーネットの顔に影が映る。


「……いえ、やめておきましょう。それよりも……そんなに、“惹かれるもの”……ですかねぇ……?」

「え、な、なんかガーネットが変なこと言ってるわよ!?」

「ガーネット……どうしたんですかねぇ?」


 せーちゃんと緋依が、ガーネットの呟きに反応する。

 そういえば、結衣と魔央以外は、ガーネットがこうなったことを知らないのだ。


「あー……その……なんて言うか……」

「また後で話してやるよ。でも今は――」

「目の前の敵に集中! ですにゃあ!」

「……お前、俺と気が合いそうだな……」

「それほどでもないですにゃ」


 結衣はなんて言うべきか考え、魔央は「後で」と言い放ってカッコつけようとした。

 そして決めゼリフを夏音に取られ、魔央は夏音と意気投合する。

 その様子を見て、結衣は嬉しそうに頬を緩ませる。


「……もういいですかぁ? じゃあ改めて――試練再開です」


 ガーネットが黒い翼を広げながら言うと、みんなは一斉にガーネットの方を見る。

 そんなみんなの眼は、闘志に燃えていた。

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