第126話 結衣を正気に戻すのは……
「アハハハハ!! イイ! グッドデス! そう、その眼……たまりマセン」
結衣の殺意にまみれた目線を受けて、少女は獰猛に嗤う。
少女は、アレを待っているのかもしれない。
結衣が、魔王姿になることを。
「はぁ……はぁ……赦さない。夏音ちゃんを――返してっ!」
「ワッツ!?」
結衣は増幅魔法をかけ、少女に迫る。
だが、少女は紙一重でそれをかわす。
結衣はそんな少女に「チッ」と舌打ちすると、自身に認識阻害魔法をかけた。
「――なっ!?」
少女の困惑を置き去りに、結衣は矢継ぎ早に魔法を繰り出す。
「全力全開!! ――
その魔力砲は、少女の背に向けて放たれた。
そして見事に、少女を撃ち抜いた。
「はぁ……はぁ……」
結衣は肩で息をしていて、顔色も悪い。
それは、魔法の連続使用による疲労――ではなく、何かに必死に耐えているように見える。
魔王の降臨を阻止するように。
「……っ! うぐっ……!」
「結衣様!?」
結衣は胸を押さえ、その場に倒れる。
そんな結衣の様子を見て、ガーネットが叫ぶ。
明らかに、結衣は何かと戦っている。
自分の中の善と悪がせめぎ合っているような、そんな感じだ。
「うう……っ、あ……ぐっ!」
結衣はとてもつらそうにしている。
自分で自分を保てそうにないほどである。
そんな結衣を正気に戻すのは、いつだって。
「……結衣様、大丈夫ですから」
ガーネットの仕事だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます