第61話 懲りずにまた……

「――で、懲りずにまた七不思議を調べる、と」

「もう、こうなった……ら……全部……確認、する!」

「真菜様はタフですねぇ……」


 結衣たちは理科室を離れ、音楽室に来ていた。


 図書室とは別校舎にある、学校の最上階の一角にある音楽室。

 それは、改装されたばかりで新しく、七不思議とは無縁であるように見える。


「七不思議その三、勝手に音楽室のピアノが鳴り出す、か……なんかすごく先が見えるっていうか、分かっちゃうっていうか……」

「なんかもうフラグ立っちゃってるっぽいですよね〜……」


 これが世界の摂理……グッバイ、オカルト……グッバイ、七不思議……


「……ぇ、ねぇ、結衣……? 聞いて……るの??」

「へあえ?? も、もちろん!」

「絶対……聞いて……なかった……でしょ……」

「ごめんなさい……」


 そんな風な会話を交わし、結衣たちは改めて音楽室を見た。

 とてもじゃないが、音楽室でオカルト的な出来事が起こりそうにないように思える。


「……音楽、室も……鍵かかって、たら……どう……しよう」

「あー、確かに。ガーネットって鍵をあけれる系の魔法とか使えないの?」


 真菜が言い放った不安の言葉に反応し、結衣はガーネットを見やる。

 ガーネットは、「ふむ……」と言うと、


「やれないこともないと思いますがぁ……ドアごとぶっ飛びますよぉ?」

「そんなバイオレンスは求めてないよ……」


 ぶっ飛んだ言葉を放つ。

 そうそう上手くいかないものだよな……と、結衣は年に似合わず悟っていた。


「あ、普通に……開いた……よ」


 結衣が悟っている間に、真菜はドアが開くか確かめていたらしく、鍵がかかっていないことがわかった。


「はー……良かった。帰れないところだったよ……」


 最後の一言は真菜に聞こえないように、ボソリと呟く。

 真菜は不思議そうに小首を傾げていたが、七不思議の方が興味津々だったのか、しばらくしたら興味無さそうにしていた。


 そして、真菜は自然に我が物顔で入っていく。

 結衣はため息をつきながら、それについて行った。

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