Ep.1 追憶のイカロス
少女は立派な翼を持っていた。太陽までも届き得る、希望に満ちた光。少女は自慢の翼でどこまでも翔んでいけると信じていた。けれどもそれは思い上がりだとすぐに気づく事になる。
悔しくて悲しくて情けなくて。何より舞い上がっていた自分自身が嫌になる。私の翼は、ハリボテだ。蝋が溶け、私は堕ちる。フッと肩の力が抜ける。そこで彼女は、はたと気づく。自分が想像以上に疲弊していた事に。
また翔べなかった。でも、もういいか。自身の愚かさも、翼が見て呉れだけの偽物だって事も、本当は空も翔べない事も。全部全部分かっていた。過ちを繰り返すほど人は成長すると言うけれど、得られたのは成長ではなくて。そこにあるのは絶望と諦めだけだった。
あぁ、もう私、疲れてしまった。目蓋が重い。……少し、眠ろう。後の事はいつかきっと、きっと、上手くやるから。意識が遠退く。
「……るせぇ」
声が、聞こえた。深層意識の中にもはっきり届く、私が聞きたかった声が。また彼に救われた。あなたがいるから私は……私は、何度でも前へ進めるのです。
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