第7話:言質
少しずつ自分が置かれた状況が明るみになっていく
「さあ? それは知らんのじゃ。わらわもこの街にやってきたのは3日前に訪れたばかりなのじゃ。仕事斡旋所で客を紹介されて、やってきたのがここの家だっただけなのじゃ」
「あちきもこの家に食事を運んでほしいと言われて、持ってきたら不審者扱いなのニャー。ひどい話だと思わないかニャー?」
「ということは、僕以外は別段、罪らしい罪を犯してないわけですね? じゃあ、なんでしょう? この家に近づくと牢屋に入れられるイベントでもセットされていたんでしょうか?」
イベント? と怪訝な表情を顔に浮かべるルナ=マフィーエとアズキ=ユメルである。彼女たちはいまいち、
「い、いや。何でもないです。イベントうんぬんは忘れてください……」
(僕はどうもこの世界をリアルだとは思えてないみたいですね……。嗅覚も味覚も感じられるのに、頭のどこかでこの世界はゲームの中だと思ってしまっています……)
困り顔の
「よくわからぬが、何やら記憶が混同しておるようじゃな。ど、どうじゃ? ここはわらわがひざ枕サービスをするのじゃぞ? も、もちろん、初回ゆえに割引してやるのじゃっ!」
「う、うーん!? 記憶が混同しているのと、ひざ枕サービスが繋がらないのですが!?」
「な、な、何を言うのじゃっ! わらわの太ももは胸同様に弾力たっぷりなのじゃぞ!? それを堪能させてやろうというのじゃっ! そうすれば、少しは頭の中がすっきりしようものじゃっ!」
(いや、明らかに煩悩が次々と頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消えの繰り返しのようなんですが……)
とりあえず、
「2人がいちゃいちゃしだすのは別にかまわないけど、あちきが寝ている時にやってくれニャン。乳くりあっているところをつぶさに観察する趣味は持ち合わせていないニャン」
アズキ=ユメルは
キツネは犬に似ているために、1度懐いた相手にはとことんなのだろうとそう思う
「すいません……。ルナさん。僕には愛する妻と、その妻との間に可愛い娘と生意気盛りな息子がいましてね……。ルナさんといちゃいちゃしたい気持ちは確かにあるのですが、如何せん、浮気をして、妻たちを泣かせたくないのですよ」
「ほうほう、なるほど……。しかしながら、ヤマミチもこのシオンの街は初めてということは、遠く離れた場所に家族がいるわけじゃな?」
「は、はい……。記憶があやふやなために正確な場所までは言えませんが、ここからはかなり遠く離れた場所に住んでいるはずです」
「では、何ら問題は無いのじゃ。男が出向先で別の家族を持つのは
この世界のルールをまるでわかっていない状況の
「ま、まあ? ひとり寝が寂しくなった時には添い寝してもらいますかね!?」
「よおおおし!
「はいはい。わかったニャー。結婚する際は是非とも、あちきが働いている教会で祝言でも挙げてほしいニャー」
浮き浮き笑顔のルナ=マフィーエに対して、勝手にしろとばかりにこれ以上巻き込まれるのは御免とばかりにアズキ=ユメルがベッドの上にごろりと寝転がる。さらには掛け布団代わりにゴザを自分の身体に覆いかぶせてしまうのであった。
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