第4話:血臭
アズキ=ユメルが鷲掴みで体長10センチ程度のネズミを捕まえて、満足気な表情で、さも美味しそうに頭からそのネズミを食べ始めたのだ。ネズミは頭をかみ砕かれ、首元から血をブシュゥ! と噴き出し、アズキ=ユメルの口の周りと両手をを真っ赤に染める。
そして、牢屋の中に血臭が漂いだし、
「ん? ニンゲン族には、刺激が強すぎたかニャン?」
アズキ=ユメルが口の中でバリボリとかみ砕いたネズミの頭を喉の奥にゴックンと飲み込んだ後、
その他の身体のパーツは見たところ、人間とはほとんど違いがない。しいて言えば、身体は引き締まっていながらも、太ももが他の部分と比べて太めであるということだろうか? しかし、肥え太っているというわけではなく、まるで陸上選手のように筋肉で包まれた太ももであろうことは容易に想像できるのだ。
(見た目は人間に猫耳と尻尾がついているように思っていただけですけど、これは身体の構造はかなり違っているのかもしれないのですかね?)
口元を手で押さえ、吐き気を懸命に抑える
そして、
一言で言えば、血臭を嗅げば根本的に気持ち悪くなるのだ。薔薇のような花の匂いならともかくとして、『血臭』をわざわざ本物と見間違うレベルで表現することなど、まずありえない。そして、血臭はすさまじく『臭い』。血が腐れば、その匂いは薄壁一枚など障壁とならないレベルに匂いを発するのだ。
そんな悪臭と言っても過言ではないシロモノをわざわざゲームに取り込むはずがないのだ。それは開発側の人間である
それゆえに
「こんなことを聞くのも変だと思われるかもしれませんけど、ルナ=マフィーエさんは
「そんな当たり前のことを聞いてどうするのじゃ? わらわの耳と尻尾を見て、
「ヤマドー、そんなことも記憶があやふやなのかニャン?」
ルナ=マフィーエはキツネのそのもののもっさもっさの太い尾をゆったりと動かし、食事中のアズキ=ユメルは細長い尻尾を嬉しそうにぱたつかせている。彼女らのデザインに
ノブレスオブリージュ・オンラインのグラフィックデザイナーであるカロッシェ・
(彼女たちの身体的フォルムはノブレスオブリージュ・オンラインの従者NPCの見た目変更アイテム使用後とそっくりなんですよね……。だかこそ、この世界はノブレスオブリージュ・オンラインを基礎としていることは間違いないでしょう……)
ノブレスオブリージュ・オンラインのシステムのひとつに『従者NPC』という、プレイヤーと戦闘を共に
開発側の
(
カロッシェ・
しかしながら、いざ実装の暁には、カロッシェ・
それでもだ。やはり餅は餅屋ともいうべきだろうか? カロッシェ・
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