第3話:カロッシェ・臼井
しかし、あの場所に入れるのはGMのみに許された特権であり、実際にはどんなシステムなのかは
「大丈夫。僕は必ず生きて帰ってくるから……」
「あうあう……。あ、あのぅ……」
「ふひっ。山道殿。それは立派なセクシャル・ハラスメントでござる。エイコウ・テクニカル社規定のセクハラ条項における第3条:女性社員の手を握るのはご法度に触れているでござる」
グラフィックデザイナーであるカロッシェ・
「ノット・ギルティ! ノット・ギルティ! 僕はここは決めておかなけばならないと思って、そうしたまでです! 無罪です!」
「山道さん、何しているッスか……。あと、桜子っち。山道さんには奥さんと可愛い息子と娘がひとりづついるんッスよ。山道さん相手に頬を紅く染めるだけ、人生の無駄遣いッス……」
「うう……。私だって、別にこれといった感情を山道さんに抱いているわけじゃないですぅ! いきなり、両手でがばっと優しくこちらの手を包まれたら、女の子なら誰でも赤面しちゃうんですぅ!」
あわてふためく
「ふひっ。では、山道殿が『D.L.P.N』システムを利用することで決定で良いのでござるか?」
山道の芝居を無視して、強引に話を進めるカロッシェ・
「ウッス。俺っちもそれがどういったシロモノかは知らないッスけど、山道さんが人身御供になってくれるってことだけは理解しているッス。山道さん、今のうちに辞世の句でも読んでおいたほうが良いんじゃないッスか?」
「あうあう……。皆さん、冷たいんですよぉ。もっと、他に山道さんに言うべきことがあるんじゃないんですかぁ?」
「山道さんが居なくなったら、開発側はともかくとして、運営側はどうすればいいのか困ってしまう事態になってしまうのですぅ! だから、川崎さんたちも、山道さんが五体満足で戻ってきてくれることを願ってほしいのですぅ!!」
「せ、拙者、別に山道さんが居なくなってくれれば済々するとかそんなことは思ってないでござるよ!? いくらGMとしては頼りない山道さんでも、『D.L.P.N』システムに繋がったことで、脳みそに大ダメージを負ってほしいなんて、これっぽちも望んでないでござるよ!?」
「え……? カロッシェさん、それってどういうことですぅ!?」
さらには
「落ち着くッスよ……、緒方っち。臼井っちの言っていることはただの噂話にすぎないんッスから。代々のGMが『D.L.P.N』システムを利用してきたのは確かッス。でも、そうだからと言って、あのひとたちが廃人化したことはなかったッスよね?」
カロッシェ・
「そ、そう言われればそう……ですけどぉ。でも、前任の上杉さんはあそこに向かって消息を絶ったんですよぉ?」
「それこそ、噂にすぎないッス。上杉さんは左遷されたことを俺たちに知られたくないだけで、こっそり雲隠れしたって思った方がよさそうなんッスよね。ねえ、山道さん?」
「ん? そこで僕に話を振りますか? さあ、どうなんでしょうね? 上杉さんはノブレスオブリージュ・オンラインのプレイヤーたちから非常に恨みを買っていましたし?」
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