第2話 大戦の幕開けと結果

 時は西暦20XX年。

 以前から衝突を繰り広げていた日本国から離れた東朝鮮と北アメリコの火種より、大規模な戦争が始まった第三次世界大戦の勃発。


 その二つの国による盛大な武力は瞬く間に世界に破壊の雨を降らし、非核三原則により武器を持たない日本にも被害の魔の手が襲った。


 日本に駐在するアメリコ軍基地での東朝鮮とアメリコの二国の争いによる、ミサイルや水素爆弾などによった容赦のない核弾頭の嵐。


 それに対して、無抵抗なままになすすべもなく消えていく人類達。


 気づけば2憶にも膨れ上がっていた日本人口は数万人までに減少。


 大陸に残ったのは建物や乗り物などの残骸ばかりで、核兵器により建物や草木が無くなり砂漠化し、その空気中には高濃度に汚染された大量の放射能で埋めつくされた。


 また、一度防護服も無しで、そのまま外出をすると空気成分の有毒な放射能が体内に混じりこみ、将来には癌や白血病などに体を蝕まれる地獄の最期が待っていた。


 そんななか、昔から地震や津波などの避難場所として役立っていた教育の場でもあり、この戦争から被害損傷をまぬがれた学園施設が東京にある日本政府から注目された。


 どんな災害にも強靭なその外壁に、新たに兵器や放射能をバリアする、目に見えないアメリコ陸軍使用の最先端のバーチャルシールド機能を取りつけた設計をし、残された人々は、その学園中で身を潜めた生活を営むこととなった。


 時は西暦20XX年。

 物資不足と兵力減少などの理由により、東朝鮮が北アメリコに無条件降伏し、第三次世界大戦の休戦宣言。


 各世界は平和を取り戻そうとやっきになっていたが、もはや、この荒れ果てた環境の空では環境省を導入して考えを張り巡らしても、すでに手遅れな状況だった。


 人類の身勝手な破壊行為により、地球は住みにくい星へと変貌を遂げた。


 ──蝉の鳴き声さえもしない曇った砂嵐が吹き荒れた6月にさしかかる、日本の初夏。


 この退廃たいはいとした日本国での学園の閉鎖された空間で一つの物語が幕を開ける。

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