それは流れる紅葉のように……異世界のドラゴンのスキルを秘めた不思議な男子。

ぴこたんすたー

第1章 第三次世界大戦

第1話 様々な恋の形

 この世は恋で溢れている。

 そこにあるのは様々な心の形。


 例えば丸くてすべすべとした物。

 親の温かい愛情を真っ直ぐに受け止めて、なに不自由も持たない純粋な心。


 例えばウニのように尖っていてささくれた物。

 親から反発を受けて、自己嫌悪に落ちて周りが信じられなくなるトゲトゲしい心。


 例えば形すらもない物。

 親もなく、身寄りもない、孤独で心底に愛情に飢えていても何も見えない心。

 もしくは若くして命を絶って広々とした天空をあてもなく、さまよう空っぽの心でもあるだろう。


 これらの様々な三つの形に共通する事柄は皆、その形と赤の他人がめぐり合い、恋が生まれて、やがては愛へと変わっていく物語。


 人ならば誰でも体験する絵本のような物語。


 その中身が明るくても暗くても訪れるのは運命と宿命。


 哺乳類として、ただの種の保存による交わりではなく、人間として特有の心を持ち、自我がある愛の行為。


 小さなおたまじゃくしが冒険活劇を繰り広げ、多数のライバルを蹴落とし、母の体内で誕生した新しい命。


 そんな神秘的なめぐり合わせを迎え、今、ここに一人の男の子が生まれた。


 だが、ただ生まれてきた命は、無垢がままにその世界を知らない。


 必ずしも幸せがあるとは限らない。


 中には己の欲望と快楽の為に過ちをおかして、避妊もろくにせず、望まれない産まれ方をする命もある。


 だが、この一人の男の子の人生のスタートはどちらでもなかった。

 なぜなら男の子が生まれてきた、この世界は……。

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