第13話 人類の増産体制も

人類の創造方法を確立したエンキは、さらに、人類の増産体制も確立させた、

当初、人類には生殖能力がなかった。馬とロバとの交配種であるラバもそうだが、

交配種にありがちなことのようである


人類に生殖能力を持たせることは、技術的には可能であったが、地球総司令官エンリルが強く反対していた。彼は、奴隷労働力として創造した人間がエンキの手勢になることを恐れた……アブズに左遷されたエンキの巻き返しをエンリルは、何よりも恐れていたからである。


14人の「誕生の女神」による人類創造はあまりにも効率が悪かった。

人類に生殖能力がなかったので、誕生の女神を務める女性のアナンヌキにとって、

負担が大きかった。そこでエンキは、生物学的な処置を施すことによって、人類にも生殖能力を与えたという。


この過程は旧約聖書にも、アダムとイヴの物語として寓話的に描かれている。


エデンの園で、蛇にそそのかされたイブが禁断の実を食べてしまう。

シュメール神話においては、エンキは蛇によって象徴される。

これこそが、人類が生殖能力を持つに至った過程なのである。


旧約聖書の「蛇」とは「秘密を解き明かすもの」、「金属の秘密を知るもの」の訳語で、科学者で金鉱アブズの支配人であるエンキを示唆する言葉だという。


しかし、エンキが人類に生殖能力を持たせたことに、エンリルは激怒した。

エンリルは人類を農場エデンから追放した。

その結果、人類は地球の各地に住むようになったというのだ。

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