第11話 アナンヌキ
太古、地球外の惑星から異星人が地球を訪問した当時、人類は、類人猿に近い
進化段階に留まっていた。
異星人の出身地を特定したのは、セカリア・シッチンである。
彼はシュメールの古文書を解読して、異星人の故郷を探り当てた。
つまり、太古の地球を来訪した異星人の故郷は、第十番惑星ニビルであったと
いう。
ディンギル(ロケット)に乗った、いと高きものたちがニビルから到来して、
地球に降り立った。
ニビル星人は、アナンヌキ(天から降り来りしもの)とよばれるようになった
アナンヌキの外見は、われわれ人類と、まったく変わらなかったが、アナンヌキ の寿命は人類よりはるかに長かった。これは、地球とニビルの公転周期の差によるもので、ニビルの公転周期は3600年、ニビルの一年は地球での3600年に相当した。
人類にとってアナンヌキは、不老不死の存在で、古代シュメール人はアナンヌキを神としてあがめた。
ギリシャ神話の、ゼウスにしても、インド神話のインドラにしても、モデルとなったのは、惑星ニビルから地球に到来したアナンヌキであるといわれる。
アナンヌキについて、シュメールの古文書ではこう伝えているという。
地球に文明が存在せず、野生の動植物がはびこっていた頃、50人のアナンヌキが天から地に降り立った。
50人を率いていたエア(水を住処とするもの)という名前の指導者は地球の第一基地、エリドウを建設し、エンキ(地球の支配者)という称号を与えられた。
シッチンの試算によれば、エンキが50人のアナンヌキを率いて地球に降りたのは、今から44万5000年前のことで、エンキとは、ニビル王、アヌの長子であったという。
エンキは現在のペルシャ湾に宇宙船を着水させ、南メソポタミアを地球における居住地と定めた。そして、その地をキエンギル(ロケットの主の地)と名付けた。
その地に、エリドウ(ERIDU)という植民都市を建設したが、このエリドウが、EARTHという単語の語源になったという。
アヌンナキが地球に到来したのは偶然ではなかった。
地球に移住しなければならない理由があった──それは黄金を採掘する目的であった。それも、装飾品などを作るために黄金をもとめていたのではなかった。
当時のニビルは、大気と地熱が失われつつあり、現状を守るために、黄金の粒子で、シールドを作る必要があった──極めて、切実な理由があったというのである。
ニビルでは黄金がほとんど採掘できない。
アナンヌキは、黄金が潤沢な地球に目を付けた。
採取のために地球遠征隊が組織され、その隊長に任命されたのが、ニビルの王、
アヌの長子エンキだったという。
シュメールの粘土版には、地球の支配者となったエンキが、宇宙飛行士の服装をした息子マルドウを地球に迎え入れる様子を描き出している。
鉱山労働は人手を多数必要としたので、ニビルから地球に、次々とアナンキが
降り立った。ニビル王アヌとともに、エンキの異母弟エンリルも地球にやってきた。
しかし、その後……エンキとエンリルの仲がとてもわるくなったという。
(*)異母兄エンキとともに、黄金採掘プロジェクト指揮・統括することが、
エンリルの任務であった。エンリルの着任は黄金採掘プロジェクトを遂行する
うえで必要なものであったが、同時に騒乱の火種でもあった。
ふたりの王子が同時に采配をふるおうとするのだから、摩擦が生じるのは当然の ことで、エンキとニヒルはニビルの植民地と化しつつある地球の支配をめぐっ て、兄弟喧嘩を始めたのである。
兄弟の確執の背景には、ニビルの複雑な王位継承問題(*)があった。
王位継承問題が、騒乱の火種であることは、ニビルのアナンヌキの世界でも地球 の人類の世界でも同じことなのである。
(*)エンキはニビル王、アヌと、その側室イドの間に生まれた第一子で、一方、
エンリルは、ニビル王、アヌとその異母妹アントウムとの間に生まれた第二子
である。エンキはニビル王、アヌの第一王子ということで、アヌの後継者と
目されていた。ところが、惑星ニビルの王位継承方法は‘「王とその異母姉妹との間に生まれた子は、全てに優先して、第一王位継承権を得る」という王位継承方法で あった。
エンキは、王の第一子でありながら、エンリルのために第一王位継承権を失って しまう。(地球の古代メソポタミアや古代エジプトでもこの考え方が存在した が、人類が倣って取り入れたものだといわれる)
──思案して迷いに迷ったニビルの王、アヌは、エンリル、エンキ、そして、自分の、三者のとるべき道を、くじにゆだねて決めたといわれる。
・アヌは、ニビルに帰ってニビルを支配する。
・エンリルは、地球総司令官として地球を支配する。
・エンキは、金坑アブズのみを支配することになったという。
しかし、その後も、地球上のアナンヌキたちは、エンリル派とエンキ派に
別れて、長く争いを繰り返した。
古代世界の神話や伝説に、「神々の戦い」をテーマにしたものが多いが、
すべて、このエンリル派とエンキ派の対立と抗争を描いたものであると
いわれる。
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